金駒の圧力で接近戦にする


上図は、先後逆で角換わりからの進展で▲4五同飛と銀を取った局面。ソフトの評価値-545で後手有利。

4五の地点で銀交換になって▲4五同飛としたのですが、駒の損得はなくここで後手の手番です。

対局中はこの局面を相当悲観していたのですが、後から調べてみると後手有利だったのは驚きました。

相当悲観していた理由は、自分が先に仕掛けたのに逆に相手の方から攻めてくるということで受け身になったのが原因です。

昔から攻められると形勢が悪いという考えになるようです。

攻められてもちゃんと受けて対応すれば少なくとも互角になると考えればいいのですが、受け損なって形勢を損ねるリスクもありますのでどうしても時間を使います。

ここらへんは攻めている側もそれなりにプレッシャーがあるはずなので気持ちの持ち方で何とかしたいなと思っていますが、大会の対局中はなかなか難しいです。

実戦は▲4五同飛以下△4四歩▲4八飛△8八歩▲5五桂で、ソフトの評価値-248で互角。

対局中は後手のこの手順は冴えないなと思って指したのですが、特に△8八歩のところでは全く指す手が浮かびませんでした。

指す手が分からないからとりあえず△8八歩と打って相手の手を見ようと思ったのですが、▲5五桂という手も見えていませんでした。

安い駒で守りの金駒の金を攻めるのはよくあるのですが、この局面もどうしょうもないと思っていました。

ここも形勢判断が全くできておらず、▲5五桂には△3四金でソフトの評価値-242で互角。

今見ると△3四金は先手の攻めの拠点の3四の歩を取りきるのでこれで大変だったのですが、守りの金が4段目にいくのは守りが薄くなってだめと思い全く考えていませんでした。

△3四金以下▲4三銀なら△5七桂成▲同銀△4三金▲同桂成△同角で、ソフトの評価値-399で後手有利。

この手順は▲4三銀には△5七桂成と捨てる手があったようで、▲同銀に△4三金と7六の角を受けに活用する筋がありました。

△5七桂成とか角を受けに使うなど全く浮かんでおらず、やはり盤面全体が見れてなかったです。

また△8八歩と打つ手では△4五桂と打って、先手の飛車の利きを止めると同時にいつでも△5七桂左成のような筋を残す手が有力でした。

最初の局面図の△4四歩では△3四金がありました。ソフトの評価値-507で後手有利。

この手は△3四金と守りの金が4段目に進出しますが、3四の攻めの拠点の歩を取ってそれが飛車取りになるので先手をとった受けでした。

4段目に守りの金がでると守りが薄くなると思って指せなかったのですが、ここからの展開が気になります。

△3四金以下▲4八飛△4七歩▲同飛△4六歩▲3七飛△4五銀で、ソフトの評価値-237で互角。

この手順は▲4八飛に後手は△4七歩と叩きます。

先手は飛車と角の両方の利きを止めるという意味での△4七歩のようで、▲同飛にさらに△4六歩と叩きます。

後手の意図は3四の金を活用することで、先手の大駒を接近戦の形にして金駒の圧力で盤上を制圧したいようです。

そのために歩を使って大駒を金駒に近づけて後手は厚みを増したいです。

△4六歩に▲3七飛と金取りにきましたが、そこで△4五銀と中段に金駒を打ちます。

△4五銀は攻めにも受けにも利いていそうな手で、後手からいつでも△3六歩と先手の飛車と角を抑え込むような指し方です。

これでも局面は互角のようですが、後手は厚みが主張で3四の金と4五の銀の指し手が筋は通っているようです。

対局中は全く見えなかったのですが、このあたりが形勢のポイントだったようです。

金駒の圧力で接近戦にするのが参考になった1局でした。