勝勢の局面から受けに回って指す


上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△6六金と打った局面。ソフトの評価値+2053で先手勝勢。

駒割りは先手の桂得ですが、後手の攻めがやや細くこのあたりは先手が指しやすいと思っていました。

ただし、後手玉がすぐに寄る形でなく、先手玉も薄く△7七歩のような手が入るとちょっと危ない形になるのでここからの指し手も結構大事です。

ソフトの評価値は先手勝勢になっていますが、対局中はそんな余裕はなく先手有利かなという感覚です。

実戦は△6六金以下▲7七金打△6五銀で、ソフトの評価値+2367で先手勝勢。

この手順の▲7七金打は敵の打ちたいところに打ての手を消した手のつもりでした。

金駒を自陣に埋めると守り駒が増えるので少し安心します。

ただし、▲7七金打はよくなかったようで後手は△同金▲同金△7五歩▲同歩△2三金で、ソフトの評価値+1905で先手優勢。

この手順は、後手は7七で清算した後△7五歩と味付けしてから△2三金と攻めの拠点の歩を取ります。

攻めの拠点の歩を取られると先手優勢でももう少し手数が伸びます。

そのような意味で▲7七金打は少し損だったようですが、ここら辺の指し手は個性が出そうです。

実戦は△6五銀と攻め駒を増やしてこれでも先手勝勢ですが、このような局面もぱっと見で先手勝勢というのも分かりにくいです。

△6五銀以下実戦は▲4五桂としましたが、ソフトの評価値+1303で先手優勢。

この手順は△6五銀に▲4五桂としましたがこれもおかしかったようで、攻め合いに出るのは危険だったようです。

自分の場合はどうもこのような局面ですぐに相手玉に直接攻めるような手を選択するのですが、このような斬り合いにもっていくのは少し危険なようです。

△6五銀には▲5七桂がソフトの推奨手で、以下△6七歩▲同金上△同金▲同飛△6六歩▲同金で、ソフトの評価値+2647で先手勝勢。

この手順を見ると先手は攻めでなく受けつぶしを狙っているようで、相手の攻めの手を消していって攻めを切らすことに専念しているようです。

将棋で形勢がよくなるというとつい攻めの手の調子がいいというイメージがありますが、受けに回って相手の手を消して形勢をよくするというのも同じくらい価値の高い指し方のようです。

なお最初の局面図で▲7七金打では▲6四桂がありました。ソフトの評価値+2202で先手勝勢。

この手順の▲6四桂は飛車取りですが、後手玉を攻めるのでなく攻め駒の飛車を責める手です。

自分はこのような手が見えづらく、持ち駒に桂馬があると今すぐには打てませんが▲4四桂のような手を残したいという感覚です。

どうも直接玉の回りで攻めたいという感覚ですが、それとは反対に桂馬を打つというのが少し見えづらいです。

▲6四桂に△7七歩なら▲7二桂成△7八歩成▲同飛△6七金▲9一飛△4一金▲1八飛△6六角成▲9七玉で、ソフトの評価値+4036で先手勝勢。

この手順は後手は飛車を見捨てて△7七歩としましたが、先手は飛車を取って▲9一飛から合駒請求して先手勝勢です。

▲6四桂に△9二飛なら▲6九飛△7七歩▲7九金△4八角成▲4九香で、ソフトの評価値+2942で先手勝勢。

この手順は▲6九飛と角取りにするのが盲点で、後手は△7七歩~△4八角成としますが、▲4九香で後手の攻めが切れ筋です。

▲6四桂に△7六飛なら▲7七歩△7一飛▲6二銀△7四飛▲5三銀成で、ソフトの評価値+2365で先手勝勢。

この手順は△7六飛には▲7七歩で先手を取って玉が堅くなりますので、以下▲6二銀~▲5三銀成で先手が指せているようです。

▲6四桂に△4二飛なら▲4五桂打△7七歩▲7九金△7六金▲5二金△4三飛▲5三金△4四飛▲3三桂成△同桂▲2二銀で、ソフトの評価値+99984で先手勝勢。

この手順は△4二飛なら▲4五桂打としますが、すぐに▲3三桂成とせずに▲5二金~▲5三金と力をためてから▲3三桂成として決めにいくのが興味深いです。

どの手順もそれなりに手数がかかり難しいのですが、終盤はこのような感覚のようです。

勝勢の局面から受けに回って指すのが参考になった1局でした。