序盤の早い段階での疑問手


上図は、先後逆で横歩取り△3三角型からの進展で▲3八金と上がった局面。ソフトの評価値+2で互角。

この局面で▲3八金とこのタイミングで上がったのはあまり見たことがなかったのですが、実戦はここで△7六飛と歩を取りました。

これで歩の損得はなくなったのですが、ソフトはこの手を疑問手と言っていました。

横歩取りの戦型で後手番でも△7六飛と横歩を取ることはよくありそうですが、正直疑問手の意味がよく分かっていませんでした。

自分は相居飛車の将棋については内容が悪く、対抗形に比べるとだいぶ勝率が悪いと思っています。

正確に数値化して調べて言っているのではありませんが、感覚的に相居飛車の将棋で手ごたえのある将棋を指したのが少なく、気がついたら作戦負けや無理筋で攻めていたというのが多いです。

何が原因か分かってなく同じことを繰り返している可能性があり、結局それを解決するにはどこが悪かったか調べるしかありません。

▲3八金はまだ19手目の指し手なので、20手目で疑問手を指すようではちょっと苦しくなります。

今までたくさん将棋を指してきましたが、まだまだ知らないことが圧倒的に多いです。

実戦は△7六飛で以下変化手順で、▲3三角成△同桂▲8四飛△8二歩▲7七桂△7四歩で、ソフトの評価値+49で互角。

この手順は△7六飛以下は変化手順で、先手は角交換をしてから▲8四飛とします。

後手は△8二歩と受ける形で、以下▲7七桂に△7四歩と突く形です。

この手順でいくつか気になることがあります。

1つは先手から▲3三角成と角交換をする手です。

横歩取りの戦型で角交換をするのは、相手が手得するのでできればあまりしない方がいいのかと思っていました。

よく横歩取りの持久戦でお互いに角が向かい合ったままで、角交換をなかなかしないという展開があり、これもそのような意味かと思っていました。

2つ目は△8二歩と打つ形です。

昭和や平成の感覚では△8二歩と2段目に歩を打って受けるのはあまりいい形ではないという理解でしたが、その後令和になると△8二歩とか△2二歩とか自分から受けるような感覚の手も見受けられるようになり、そのあたりが局面によって微妙に味が違うようです。

本局の変化手順では△7一銀の形で△8二歩と受けると、7一の銀が使いづらく銀を使うためには△7二金と8二の歩にひもをつける必要があります。

3つ目は△7四歩と突く手です。

この手は以前もこのような手があると調べていたのですが、感覚的に最初に浮かばないことが多く、指摘されて初めて見える手です。

△7四歩と突くことで先手に▲2四飛とさせないとか、△7三桂と活用できるという意味があるようです。

△7四歩と突いても形勢は互角なので、最初の局面図で△7六飛が疑問手と言ってもなかなか理解できないところはありますが、多分強い将棋AIも疑問手と判定する可能性が高いと思っています。

△7六飛では△7二銀がありました。

△7二銀▲3六歩△7四歩▲3七桂△7六飛で、ソフトの評価値+92で互角。

この手順は△7二銀とする手で、最近の後手の横歩取りは△7二銀型で短い手数で玉の整備をすることが多いです。

△6二銀△7二金型より△7二銀型の方が1手省くことができます。

先手は▲3六歩としましたが、そこで△7四歩と突くのも興味深いです。

△7四歩に▲同飛は△7七歩がありますので先手は取ることができません。

よって▲3七桂としましたが、そこで△7六飛としています。

この形は先手に▲8四飛と回らせないように、後手は8筋にできるだけ飛車をいる形に辛抱しました。

それにより△8二歩と受けるのでなく持ち駒に3歩ある形になります。

これも互角の展開ですが、このようなちょっとした違いでも何か考える材料ができるというのはいいことなのかもしれません。

序盤の早い段階での疑問手が参考になった1局でした。