持ち駒を盤上に埋めて手厚く指す

上図は、先後逆で横歩取り△3三角型からの進展で▲3一角と打った局面。ソフトの評価値-915で後手優勢。

▲3一角は後手にとっても嫌な手で、▲5三桂成や▲2二角成や▲5五銀のような狙いがあります。

後手は5四に飛車がいるので5筋は上にも下にも守っている形ですが、玉頭がやや薄いので△6二金が浮かびました。

実戦は△6二金だったのですが以下変化手順で▲5五銀△同銀▲6六桂なら、ソフトの評価値+1475で先手優勢。

この手順は自然な手の流れに見えますが、後手優勢から先手優勢に変わったので後手としては失敗です。

最初は意味が分からなかったのですが、▲6六桂に△同銀なら▲5四飛△同歩▲4二飛△5一玉▲6二飛成△同玉▲5三角成△6一玉▲6二金まで詰みです。

この手順は飛車交換から▲4二飛と玉の近くから飛車を打つのが盲点で、△5一玉には▲6二飛成から金を取って後手玉が詰みです。

▲4二飛では▲2二飛と王手角取りの筋で飛車を打ちたくなりますが、△3二桂と受けられるとこれでも先手勝勢ですが、後手玉の即詰みはなくなります。

なお△3二桂で△3二銀は▲同飛成△同角▲5三銀△5一玉▲6二銀成△同玉▲5三角成△6一玉▲6二金まで詰みです。

そのような意味で後手は5三の地点を守るより5五の地点を守る方が優先だったようです。

△6二金では△5六角がありました。

△5六角▲同飛△6四銀で、ソフトの評価値-827で後手優勢。

この手順の△5六角は角と銀の交換になりますので、後手が少し駒損になります。

しかも取った銀を△6四銀と打って受けるのが盲点です。

取った銀をすぐ攻めに使うというのは考えやすいのですが、受けに使うと普通は少し後手が損をしたとイメージしやすいです。

△6四銀に先手の指し手が気になります。

△6四銀▲6六歩△3七歩成▲3三角△4五金で、ソフトの評価値-2302で後手勝勢。

この手順は▲6六歩と6五の桂馬を守って辛抱したのですが、△3七歩成が間に合ってきます。

以下▲3三角には△4五金と飛車を催促して後手が指せているようで、これは後手の受けつぶしのような手順です。

△6四銀▲5三桂成△同銀▲6五角△8四飛▲5四歩△同銀▲7五角成△6五銀▲同馬△8五飛▲7五馬△同飛▲同歩△3四角▲3二飛△5三玉で、ソフトの評価値-2324で後手勝勢。

この手順は▲5三桂成~▲6五角と暴れてくる手ですが、先手の攻め駒が残らないように駒を取っていって△3四角と埋めるのが興味深いです。

飛車を渡しても玉の周辺を手厚くしておけば先手は攻め切れないようで後手勝勢です。

なお△5六角と銀を取った時に先に▲5三桂成から清算する筋も気になります。

△5六角に▲5三桂成なら△同飛▲同角成△同玉▲5六飛△8三角で、ソフトの評価値-1160で後手優勢。

この手順は▲5三桂成と5三の地点で清算してから▲5六飛と角を取りますが、△8三角と遠みの角を打って後手が指せているようです。

これらの手順を見ると後手は手厚く指すのが大事なようで、△6四銀とか△3四角とか△8三角など持ち駒を盤上の自陣側に埋めています。

玉を堅くするというと玉の回りに金駒を埋めるイメージがありますが、盤上の自陣側を広く埋めるというのも自陣を手厚くする有効な手段のようです。

持ち駒を盤上に埋めて手厚く指すのが参考になった1局でした。