悪いと思っていた局面が意外と難しい

上図は、先後逆で相雁木からの進展で▲9一角成と香車を取った局面。ソフトの評価値+279で互角。

駒割りは銀と香車の交換で後手が少し駒得ですが、馬を作られて次に▲8六香や▲5七香が気になります。

対局中は後手が少し指しにくく、両方の狙いを受けるのは難しいと思い△4五歩として4二の角の活用を図りましたが、あまり意味がなかったようです。

実戦は△4五歩▲7七桂△8三飛▲5六香△4三銀打で、ソフトの評価値+878で先手優勢。

この手順は△4五歩に▲7七桂でこの手もソフトの候補手にありましたが、▲8六香~▲8一馬を推奨していました。

▲7七桂は△3三角のような手を事前に受けて。それが飛車取りなので手の流れとしてはこれも悪くないです。

以下△8三飛▲5六香に△4三銀打としたのがさらに形勢を悪化させたようです。

△4三銀打がいまひとつなのは、先手から▲5四香と取ったら△同銀と進みますが、相変わらず5三に攻めの拠点の歩が残っているので▲5二銀と打たれたら守りの金が1枚なくなります。

後手としては銀を取り返されるのは仕方ないのですが、そのときに5三の歩も一緒に処理できる形の方がよかったようです。

△4三銀打では△4三銀と引いて、以下▲9二馬なら△7二銀と埋めて、▲5二歩成なら△同銀▲同香成△同玉で辛抱すべきだったようです。

どうしても自玉が薄いと金駒を埋めたくなるのですが、△4三銀打がいまひとつの手だったというのは参考になりました。

人間の価値観だけで指し手を選択するとあまりうまくいっていないということもあり、このあたりは将棋が難しいと思っています。

△4五歩では△4一玉がありました。ソフトの評価値+272で互角。

この△4一玉は5三に歩が残っているので、少しでも攻めの拠点の歩から遠ざかる手です。

△4一玉に▲8六香なら△6五飛▲8一馬△4三銀打▲5六銀△3五飛で、ソフトの評価値+163で互角。

この手順は△4一玉に▲8六香~▲8一馬で桂馬を取られてさらに銀取りなので後手の手の流れはよくないように見えても△4三銀打で意外といい勝負のようです。

こういうのも勘違いしやすいのですが、ぼろぼろ駒を取られてさらにそれが駒取りになっていてもしっかり受けられると意外といい勝負になっていることがあり、人間の感覚と局面の評価値とがだいぶ乖離があります。

感覚も大事ですが、そこには読みも入れたいです。

△4一玉に▲7七桂なら△8三飛▲9二馬△5三飛▲8一馬△3一玉で、ソフトの評価値+254で互角。

この手順は▲7七桂~▲9二馬で後手の飛車を責める手ですが、後手は△5三飛~△8三飛と5三の歩を処理するのが大きいです。

銀と桂香の交換の2枚替えで後手がやや駒損ですが、3一玉と少し馬から遠い位置に逃げていい勝負のようです。

△4一玉に▲5七香なら△4三銀▲6四歩△6二銀▲9二馬△8四飛で、ソフトの評価値+191で互角。

この手順は▲5七香に△4三銀と引いて次に△5四歩と受ける手を用意します。

先手は▲6四歩~▲9二馬で攻め駒を増やしてきますが、△8四飛が▲7四馬を消したしぶとい手でこれでいい勝負のようです。

△4一玉に▲9二馬なら△3一玉▲7七桂△8四飛▲8五香△9四飛▲8一馬△4三銀打▲8六桂△9五飛▲9六歩△8五飛▲同桂△5七歩▲同金△5五香で、ソフトの評価値+277で互角。

この手順も興味深いのですが、先手は取った桂馬で後手の飛車を責めて飛車を取る展開で、後手は飛桂と銀の交換も駒損で全くいいところがないように見えても、玉を少し安全にして△5五香と打った局面はいい勝負のようです。

駒損だからだめとか、飛車を取られたからだめという感覚だけでなく少しでも読みを入れて勝負できる形にもっていけるかどうかが大事なようです。

悪いと思っていた局面が意外と難しかったのが参考になった1局でした。