上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△8八歩と打った局面。ソフトの評価値+1150で先手優勢。
駒の損得はなくいい勝負に見えても、ソフトの形勢判断は先手優勢になっていました。
対局中はどちらが形勢がいいかなど考える余裕はほとんどなく、目の前の局面でどのように指したらいいかと考えることがほとんどです。
改めてこの△8八歩の局面を見ると、後手の金駒は2二の金が壁になっており7三の金と4五の銀も後手玉から離れてばらばらなので、玉の囲いの差で先手が優勢のようです。
ここで後手が△8八歩と打ってきたのですが、対局中は嫌な手がきたなと思っていました。
何で取っても味が悪いということですが、実戦の短い時間でどの変化も読むのは無理なので結局直感になります。
実戦は△8八歩以下▲9七桂△7六歩▲同銀△7七歩▲同金に変化手順で△7五歩で、ソフトの評価値+187で互角。

この手順は後手は歩をたくさん使って攻める手ですが、先手陣は矢倉だったのが形が崩れてきました。
▲9七桂と逃げることで桂馬は取られませんが、7七の駒の利きが1枚なくなったことになります。
後手は▲9七桂に△7六歩と突くのが鋭く、このような歩を残すと後手の攻め駒の拠点になるので普通は取ることが多いです。
よって▲7六同銀としましたが、また△7七歩と叩きます。
玉が1段目にいる場合の守り駒の金は、普通2段目より3段目になると守りが弱くなりやすいのです。
そのような意味で▲7七同金とはしたくないのですが、7七に攻めの拠点の歩が残ると先手玉が危険になりますので、▲7七同金とします。
▲7七同金に△7五歩も鋭く▲8七銀と引けば△7六銀と7五の歩を拠点に攻めてきます。
また▲7六同金とすると金が4段目に上がり守りがどんどん弱体化していきます。
そのような意味で▲9七桂としたのは危険だったようです。
▲9七桂では▲8八同玉がありました。ソフトの評価値+1037で先手優勢。

この手は▲8八同玉と矢倉に入城する手です。
これが序盤であれば普通の手ですがなぜこの局面で手が少し指しにくいかというと、後手の持ち駒が豊富なのと、8六の歩を突き捨てているのと、7六に守りの歩がいなくて相手の歩が7五にいるためです。
▲8八同玉とすることで相手の攻め駒に近づくということになりそうです。
▲8八同玉に△8七歩なら▲同金△7六銀▲同銀△同歩▲4三歩△4一歩▲7一角△7五桂▲8二角成△8七桂成▲同玉で、ソフトの評価値+2045で先手勝勢。
この手順は後手は△8七歩~△7六銀と攻めてきたのですが、▲同銀△同歩でここで先手に手番が回るのが大きいです。
▲4三歩と垂らして次に▲4二銀の打ち込みを狙います。
▲4二銀に△3二玉なら▲3五桂が次に▲4一銀打の詰めろになります。
よって▲4三歩に△4一歩と受けましたが▲7一角が厳しく、△7五桂としても▲8二角成で△8七桂成に▲同玉で先手玉に迫る手がありません。
後手は守りが薄いので単純に駒を渡して攻めるのは反動がきついようです。
▲8八同玉に△8五歩なら▲7一角△7二飛▲5三角成△4二銀▲4四馬で、ソフトの評価値+1905で先手優勢。
この手順の△8五歩は▲同歩なら△8六歩と垂らして、▲同銀なら△7六桂のような狙いですが、△8五歩に▲7一角が厳しいです
△7二飛に▲5三角成として△4二銀とはじきますが▲4四馬と逃げて次に▲4三歩を狙って先手優勢です。
後手は△7二飛で飛車の利きがそれたのと、△4二銀と持ち駒の銀を使って受けたので先手の攻めが緩和されます。
▲8八同玉に△7六桂なら▲同銀△同歩▲7一角△7二飛▲5三角成△4二銀▲4四馬△5四銀打▲3五桂で、ソフトの評価値+2473で先手勝勢。
この手順は△7六桂にはあっさり▲同銀~▲7一角でやはり先手が指せているようです。
なお▲9七桂では▲7一角もあったようです。
▲7一角△8九歩成▲同玉△7二飛▲5三角成△4二歩▲7四歩△同金▲4三歩で、ソフトの評価値+2026で先手勝勢。
この手順はややうまくいきすぎですが、先に▲7一角と先着する手もあったようで△8九歩成と桂馬を取られますが▲同玉ですっきりした形で以下攻めに専念できそうです。
矢倉の焦点の歩の対応が参考になった1局でした。