寄せの前の段階では力をためて指す

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△1三同歩と歩を取った局面。ソフトの評価値+1696で先手優勢。

駒割りは飛金と角銀の交換で先手歩切れですが、攻めに専念できている先手が指せているようです。

ここで先手の手番ですが気になるのが4八の金の処置で、対局中は逃げることは全く考えていませんでした。

4七の歩を相手にするとかえって手数が長引いて危ないと思って、攻めることだけを考えていました。

このあたりの指し方にやや余裕がないというか、慌てて攻めると逆に形勢が縮まることがあります。

実戦は▲7一飛△3一桂で、ソフトの評価値+1638で先手優勢。

この手順の▲7一飛はやや危険な手だったようで、後手は△3一桂と受けましたが開き直って△4八歩成が先手にもプレッシャーがかかっていたようです。

△3一桂で△4八歩成▲1一飛成△3三玉で、ソフトの評価値+1057で先手優勢。

▲1一飛成と踏み込む自信はなかったのですが、△同玉なら▲1三香成△1二銀▲1八香△1三銀▲同香成で、ソフトの評価値+2140で先手勝勢。

このような展開になると先手は詰めろを続けていけば後手玉を寄せきれそうです。

ただし、▲1一飛成に△3三玉と上部に逃げる形で、先手優勢もうまく攻めないと後手は入玉するような可能性もあるのでまだ大変です。

4八にできたと金は金をぼろっと取った形で、入玉形になってくると役に立ちそうです。

決めに行くのが少し早いと形勢が接近するというパターンのようで、勝ちを急ぐとかえって危険です。

▲7一飛では▲5八金がありました。ソフトの評価値+1547で先手優勢。

この▲5八金は金を逃げる手で、少しでも玉の近くに金を寄せる手です。

ここで後手の手番になるのですが、先手の玉に嫌味をつける指し方か、もたれるような指し方かのどちらかになりそうです。

▲5八金に△5五角なら▲6一飛△6四桂▲1一飛成△同玉▲1三香成△1二銀▲1八香△1三銀▲同香成△2一玉▲2三桂で、ソフトの評価値+7792で先手勝勢。

この手順は△5五角~△6四桂として、△7六桂から角のラインで玉のコビンを狙う形ですが、▲1一飛成~▲1三香成がありました。

詰めろを続けていけば後手玉を寄せきれそうです。

▲5八金に△8六歩なら▲4一飛△3一桂▲1六桂△8七歩成▲同金△2三銀▲2四桂△同銀▲同飛△2三歩▲2九飛で、ソフトの評価値+1751で先手優勢。

この手順は△8六歩には▲4一飛が鋭いです。

狭いところに飛車を打つと飛車が窮屈で、うまく攻めないと飛車が取られそうな形になるのが気になります。

▲4一飛に△5一桂なら▲1一飛成~▲1三香成の狙いです。

△3一桂の受けには▲1六桂と攻め駒を増やすのがいいようで、以下2四の地点で清算する形ですが、確実に先手が駒得を重ねていく感じです。

△8六歩には必ずしも取るとは限らないという展開です。

▲5八金に△3八角なら▲2四飛△2三歩▲2八飛△4九角成▲4三金△3一桂▲1五桂で、ソフトの評価値+2389で先手勝勢。

この手順は△3八角には平凡に▲2四飛とする手が歩切れを解消しての王手で、△2三歩に▲2八飛が角取りになります。

△4九角成に▲4三金が激痛で△3一桂と数の受けをしますが、▲1五桂と攻め駒を増やして先手優勢です。

▲1五桂の後は▲8二飛と飛車を打ってさらに攻め駒を増やす感じです。

▲5八金に△4六桂なら▲6八金右△4八歩成▲5五桂△5四銀打▲4三金で、ソフトの評価値+2214で先手勝勢。

この手順は△4六桂にはさらに▲6八金右として金を自玉に寄せます。

△4八歩成として次に△5八と~△6八とまでくれば少しは先手玉が薄くなりますが、この瞬間に▲5五桂と攻め駒を増やします。

△5四銀打の受けにさらに▲4三金と打ち込むのが強い手です。

▲4三金以下△5五銀▲8二飛で、ソフトの評価値+4234で先手勝勢。

この手順の△5五銀と桂馬を取られる手には▲8二飛と打って、次に▲3二金~▲4三金の筋と、▲4二金△同金▲同飛成の筋があり後手は収拾がつかないようです。

これらの手順を見ると決めるところは厳しく寄せにいきますが、その前の段階では寄せを急がずに攻め駒を増やして相手の体力を奪うような感じの指し方のようです。

寄せの前の段階では力をためて指すのが参考になった1局でした。