香車の下段打ちが攻防になる

上図は後手角交換振り飛車からの進展で△7四香と打った局面。ソフトの評価値-602で後手有利。

駒割りは先手の角得ですが、後手は1九に龍がいて、6五の桂馬と7六の歩と7四の香車で先手の玉を攻める形になっており後手有利のようです。

普通は角得の場合は先手有利になりますが、後手は攻めの圧力が大きいです。

また先手は4七の銀と4八の金が守りにあまり役にたっておらず、しかも歩切れです。

対局中は7七の地点のケアをしないといけないと思っていましたが、ここからの指し手はよくなかったです。

実戦は▲7四同角成△同金▲7五香△同金▲同角だったのですが、そこから変化手順で△7三香で、ソフトの評価値-985で後手優勢。

この手順は▲7四同角成△同金▲7五香として、相手の香車を取って逆に攻め駒として使う展開でぎりぎり先手玉は持ちこたえているのかと思っていましたが、△同金▲同角に△7三香と打つ手がありました。

後手玉のコビンを防ぎつつ角取りで角が逃げれば7七の地点に殺到する手で、ここで先手は歩切れなのが痛いです。

歩があれば▲7四歩△同香▲6四角で、これでも先手が苦しいなりにあやがあるかと思っていましたが歩切れでした。

▲7四同角成はやや単調だったようで、ここは苦しいながらも受けの手を考えるべきだったようです。

▲7四同角成では▲7九香がありました。ソフトの評価値-580で後手有利。

この手順は▲7九香と下段に香車を打って受ける手ですが、これが後手の龍の利きを止めつつ7七の地点をケアしている手のようです。

▲7九香では▲4九香も後手の龍の利きを止めますが、こちらはあまりよくないようです。

▲7九香で▲4九香なら△7七銀▲同桂△同歩成▲同銀△同桂成▲同金△同香成▲同玉△7六歩▲6七玉△7七金▲同角△同歩成▲同玉△5九角で、ソフトの評価値-2869で後手勝勢。

この手順は△7七銀から7七の地点に殺到する手で、7七の地点は数の上では先手の守り駒の方が多いのですが、金駒がなくなると先手玉がすかすかになり後手の攻めに耐えられないようです。

▲7九香のこのような手はただ受けただけと言われそうですが、それなりに狙いはあったようです。

▲7九香に△7七銀なら▲同桂△同歩成▲同金△同桂成▲同銀△同香成▲同香で、ソフトの評価値+58で互角。

この手順は△7七銀と打ち込む手で、普通はこのような手で後手ががりがり攻めて攻め倒せそうです。

しかし▲7九香と打った形は7七の地点で清算して▲7七同香と取った形が次に、▲7三香成△同玉▲7四歩△8二玉▲7三銀△8一玉▲8二金までの詰めろになっています。

ただ受けただけの香車だったのですが、香車の利きの駒がなくなると後手陣に直通して詰めろになるという理屈です。

後手が決めにいくと逆に後手玉が危なくなるというあまり見ない形ですが、香車の受けには独特の受け方があるようです。

詰将棋などでも合駒で香車を打つことがたまにありますが、数手先に香車の利きで不詰みになったりとか手数が伸びたりとかで、他の駒にない動きをすることで局面が複雑になることがあります。

本局は▲7九香は全く見えませんでしたが、今度似たようなケースがあったときは頭に浮かぶようにしたいです。

香車の下段打ちが攻防になるのが参考になった1局でした。