どの寄せも下駄を預ける形になる


上図は、角換わりからの進展で△6四同銀と歩を取った局面。ソフトの評価値+2724で先手勝勢。

先手は3二に龍がいて持ち駒に金と銀と歩がある形なので後手玉を寄せやすい形です。

ただし、どのように寄せるかとなると複数の手があり少し迷う形です。

実戦は▲6三歩△5三玉▲7二銀で、ソフトの評価値+2540で先手勝勢。

この手順は▲6三歩と打って△同玉なら▲7二銀と打つつもりでしたが、△5三玉だったので▲7二銀と打ちました。

▲7二銀は詰めろではありませんが、飛車取りと次に▲6二歩成が詰めろになります。

▲7二銀の瞬間が少し甘いのですが、後手より厳しい手がなければ▲7二銀で十分だったようです。

▲6三歩はソフトの推奨手ではありませんでしたが、候補手の1つだったのでそこまで悪い手ではなかったようです。

ソフトは▲6三歩で▲7二金を推奨していました。

▲7二金△5三玉▲8一金で、ソフトの評価値+2908で先手勝勢。

この手順は▲7二金と王手をする手で、△同玉なら▲5二龍で△8三玉なら▲7二銀と打てる形です。

持ち駒を金と銀にした状態で攻めるので、色々な攻め方が可能になります。

▲5二龍に△6二桂と打っても▲6三金△8三玉▲6二龍とぼろぼろ駒が取れます。

よって▲7二金には△5三玉として▲8一金と飛車を取る形です。

飛車を取れるのは大きな駒得ですが、8一の金の形が悪いのでやや指しづらいところはあります。

評価値的には、金が重たい形よりも飛車の駒得と自玉の安全度より先手勝勢のようです。

人間的な感覚とソフトの感覚が少し違っていましたが、重たい手でも推奨手になるケースがあるというのは参考になりました。

また別の手で▲6三歩では▲7二銀もありました。

▲7二銀△同玉▲5二龍△8三玉▲7二金で、ソフトの評価値+2659で先手勝勢。

この手順は▲7二銀と打つ手で、これは実戦の▲6三歩とすることなくダイレクトに▲7二銀として次の▲6三金からの詰めろを狙います。

意味合いとしては▲6三歩に近いところはありますが、歩を節約できるのと飛車取り詰めろなので手の価値としては▲6三歩より上回っているようです。

△7二同玉としますが、▲5二龍△8三玉に次の▲7二金が少し浮かびにくいです。

持ち駒に銀があれば▲7二銀は直ぐに浮かぶのですが、▲7二金と張り付いて飛車取りというのが一瞬甘くなります。

▲7二金は詰めろでないのでここで後手から厳しい手があればもつれてくるのですが、幸い形勢に差が開いていたのでこれでも問題なさそうです。

これらの手順を見ると▲6三歩でも▲7二金でも▲7二銀でも形勢に差があったからどれも先手勝勢だったということですが、どの展開も一瞬重たい形になり後手に下駄を預けるようなところがあります。

それを見越して手を選択するというのが大事なようで、相手も最善を尽くしてきますのでこちらだけ理想的に指すというのは難しいようです。

そのあたりを割り切って読みを入れるのが必要なようです。

どの寄せも下駄を預ける形になるのが参考になった1局でした。