苦しい局面で盤上の飛車を活用する

上図は、横歩取り青野流からの進展で△4二玉と逃げた局面。ソフトの評価値-993で後手優勢。

後手玉が5二にいるときに▲4四桂と打って△4二玉とした形です。

先手は角が取られそうな形で攻めが途切れてしまう可能性があるので、最悪それだけは避けたいです。

また先手玉は金駒が1枚取られそうです。

この局面を見て驚いたのは駒割りは金と銀の交換でほぼ互角だったのですが、先手が大きく駒損していると思っていたので意外でした。

駒割りがほぼ互角でも、攻め駒と守り駒のどちらかが取られそうなので先手が悪いようです。

実戦は△4二玉以下▲3二金△同銀▲5二角成△3一玉▲3二桂成△同玉で、ソフトの評価値-1452で後手優勢。

この手順は先手の角を助ける流れで、部分的な駒割りは銀と金桂の交換で先手が駒損です。

▲3二金はソフトの候補手の1つだったのですが、中盤から終盤にさしかかるような局面だと推奨手以外は形勢がさらに悪くなるというケースもあります。

本局もそんな感じで差が広がったようです。

元々の局面が先手が悪いのでどう指しても苦しいのですが、このような局面でも勝負手はあったようです。

▲3二金では▲8六飛がありました。

▲8六飛に△6四角なら▲2六飛で、ソフトの評価値+869で先手優勢。

この手順は▲8六飛と角取りですが、遊び駒を働かせる手がありました。

盤上の大駒の飛車が眠ったままだったのですが、この手は全く見えていませんでした。

自分は形勢が苦しくなるとつい持ち駒を使う癖があるようで、後から調べると盤上の駒を動かす手を指摘されることがよくあります。

本局もそんな感じで▲8六飛が角取りなので、この手は見えるように盤上全体に意識を向けるべきだったようです。

ただし、▲8六飛に△6四角と逃げる手が逆に飛車取りになりますので、ここであきらめたらだめだったようです。

あきらめるというのは、△6四角の飛車取りで先手が悪いとそれ以上の読みを断念するという意味です。

△6四角には▲2六飛があったようで、△同飛なら▲4三角成△同玉▲3四銀△4四玉▲4五金まで詰みです。

△4四玉で△5四玉としても▲4五金まで詰みで、7七の桂馬がよく利いています。

△4四玉で△4二玉としても▲4三金△4一玉▲4二歩△5一玉▲5二金まで詰みで、4筋に歩が打てるのが大きいです。

これらの詰み筋は3五に攻めの拠点の歩が残っているが大きく、後手が形だけで指すと思わぬ展開になるパターンでした。

自分も最初は△6四角までの手順が浮かびましたが、▲2六飛は全く見えていませんでした。

▲8六飛に△3五角なら▲3二金△同銀▲5二角成△3一玉▲3二桂成△同玉▲3九金で、ソフトの評価値-974で後手優勢。

この手順は後手は△3五角と歩を掃う手で、3五の攻めの拠点の歩がいなくなると先手の戦力が少し少なくなります。

先手の角を助けるには▲3二金~▲5二角成は仕方ありませんが、△3二同玉に次の▲3九金が指しにくいです。

攻めることばかり考えていると、△4九歩成と金を取る手が次に△5九金から先手玉に詰めろがかかります。

苦しくても辛抱するときは辛抱するのが大事なようです。

普通は逃げるのは▲5九金と玉の近くに金を逃げるのが自然なのですが、△3八と~△4九歩成とされると△5九とが王手で金を取られます。

▲3九金と玉の反対に逃げるのはぱっと見で守りが薄くなるようですが、△3八と~△3九とは王手になりません。

時間稼ぎという意味のようでこれでも先手が悪いようですが、悪いなりに少しでも最善を尽くすのが大事なようです。

形勢が悪いと相手が疑問手や悪手を指さない限り差は縮まりませんが、甘い手を重ねていくと気がついたらいい勝負になっていたというのはよくあるケースです。

苦しい局面で盤上の飛車を活用するのが参考になった1局でした。