上図は、後手ゴキゲン中飛車に先手▲3七銀超速からの進展で△9三同歩と歩を取った局面。ソフトの評価値-723で後手有利。
先手が仕掛けを失敗したため苦し紛れに9筋から動いた展開です。
相手の穴熊を横から攻める形になりにくいので端に手をつけました。
先手は攻め駒が少ないのですが、後手から△2八飛~△5八歩成の筋があるので忙しいです。
実戦は△9三同香以下▲8五銀△8二銀▲9二歩△同玉▲7五角打△2八飛で、ソフトの評価値-1468で後手優勢。

この手順は▲8五銀と9筋に攻め駒を増やす手で、後手も△8二銀と上がってきました。
△8二銀は価値の高い手で、7筋の壁を解消することで7筋~6筋方面に玉が逃げるスペースがあきます。
穴熊は狭いので欠点ですが、玉が逃げる形になると攻める方も大変になります。
先手は▲9二歩と打って後手の9二から駒を打って受けるスペースをつぶしてから▲7五角打としました。
先手の攻め駒は角2枚と銀と香車の4枚ですが、持ち駒がありませんので少し足らないようです。
後手は9三の地点に玉と銀と桂馬の3枚が利いているのですが、玉が7筋~6筋方面に玉が逃げることもできますので後手が指せているようです。
最後の△2八飛と打つところで持ち駒の飛車を温存して、将来△9八飛のような攻防の手を残すこともありましたが、後手は受け流すことが可能なので△2八飛で十分のようです。
この形は後手も怖いところはありますが、相手の攻めを正確に受ければ後手がいいです。
先手はやや単調な流れになりそうなので苦しいながらももう少し複雑にすべきだったようです。
なお▲8五銀はソフトの候補手にも上がっていませんでした。
▲8五銀では▲9五歩がありました。
▲9五歩△同歩▲9三角成△同桂▲9四香△8二銀▲6六角で、ソフトの評価値-1114で後手優勢。

この手順は▲9五歩とする手で歩を合わせるのはたまにでる筋ですが、先手の持ち駒に歩が少ないのもあり全く浮かびませんでした。
歩を合わせて△同歩とさせることで将来9四の地点に空間をあけるのと、後手は歩を下から受ける形にさせないという意味です。
相手が穴熊のような場合に端攻めをするときにでるやや高級な手筋で、知っておいて損はないと思います。
▲9三角成△同桂に▲9四香が単純そうに見えて意外とうるさい手で、△8二銀に▲6六角と打って9三の地点に照準を合わせます。
▲6六角に△8四角なら▲7五銀△同角▲同角△8四銀▲9三香不成△同銀上▲8五桂△8二銀▲5三桂不成で、ソフトの評価値-1203で後手優勢。
この手順は△8四角と手堅く受ける手には▲7五銀と合わせて角と銀の交換にする形です。
以下清算して△8四銀と打ちますが▲9三香不成△同銀上▲8五桂が継続手です。
▲8五桂に△8二銀と引いて以下▲5三桂不成ですが、角の利きを利用して桂馬も攻め駒に使うというのが興味深いです。
先手はどこかで▲9五香のように歩を補充しながら攻める手もありそうですが、後手の持ち駒に飛車があるので△9八飛のような手があります。
そのような意味で先手の攻めは少し制限されています。
これらの展開でも先手がだいぶ悪いようですが、手の流れとしては後手に手番を渡さない攻め方が鋭いです。
実戦よりはこの手順の方がよかったようです。
歩を合わせて細かい攻めをするのが参考になった1局でした。