味消しの手を指さずに受けに回る

上図は、先後逆で先手5筋位取り中飛車に後手超速△7三銀型の展開で▲1三歩と打った局面。ソフトの評価値-1210で後手優勢。

後手が1筋から攻めたのでその反動で▲1三歩と叩いてきました。

その筋の歩が切れると逆用するケースはあり、特に先手の持ち駒に飛車があるので後手も慎重にならざるを得ません。

実戦は▲1三歩に△2八桂成と銀を取ったのですが、やや味消しでした。

味消しというのは、比較的いつでも取りやすい2八の銀を取るのはこのタイミングでは少し早いということです。

金駒の銀を取るのはそれなりに大きいのですが、今取るのでなくもう少し後からでもよかったようで、逆に桂馬を相手の持ち駒に渡すことになるので局面が少し複雑になります。

相手の持ち駒が歩だけだとこちらも考えやすいのですが、それに桂馬が加わると考える要素が増えてきます。

特にこの局面は▲1三歩と叩いた形で次に▲1二歩成と香車を取られるのは痛いので、部分的な形としては△1三同香と取るのが自然でした。

△2八桂成では△1三同香がありました。

△1三同香▲3三銀成△同銀▲2五桂打で、ソフトの評価値-1327で後手優勢。

この手順は先手は▲3三銀成~▲2五桂打の両取りで後手陣を薄くする狙いです。

▲3三銀成では▲1二歩△同香▲1一飛のような手も気になりますが、△2二玉で先手の攻め駒が不足しているので残っているようです。

▲2五桂打とした局面は典型的な玉頭戦で、お互いの玉がある盤面の左側での戦いになります。

玉頭戦は駒の損得より厚みが大事になってきます。

▲2五桂打で駒割りは角香と桂の交換で後手が大きく駒得をしています。

ただし、後手玉に先手が厚みを作る形になると盤面を制圧されることになり簡単に勝てなくなります。

そのため玉頭戦は独特の感覚があるようです。

▲2五桂打の後手も対応も慎重になります。

▲2五桂打以下△2四銀▲1三桂成△同香▲1四歩△同香▲1二飛△2二桂▲1一飛成△3一金で、ソフトの評価値-2259で後手勝勢。

この手順は△2四銀と逃げる手ですが、厚みというと金駒が主役になりやすいので金駒は簡単には渡せません。

先手は▲1三桂成としますが、△同銀だと1一の香車の攻め味がなくなりますので△同香とします。

▲1四歩~▲1二飛の王手は後手にとっても嫌な形で、△2二銀と打つか△2二桂と打つかが迷います。

△2二銀とすれば金駒を埋めるので自玉は少し堅くなりますが、▲1四飛成と香車を取られます。

よって香車を守る△2二桂とします。

2二の桂馬はやや守りが薄いので▲1一飛成と龍を作りましたが、△3一金と寄って次に△2一金から龍を取る狙いです。

この手順は後手の8一飛とか先手の持ち駒で成立している形のようで、ちょっと形が違えば成立しないというのは将棋ではよくあります。

玉の近くに龍を作らせるというのは本来は危険なので指したくないのですが、受けきれると判断すればどこかで踏み込むことになります。

△3一金以下▲4五香△2一金▲同龍△同玉▲4四香△同歩で、ソフトの評価値-2113で後手勝勢。

この手順は先手は▲4五香から食いつく手ですが、△2一金から龍を取って後手玉が安全になったので後手勝勢のようです。

味消しの手を指さずに受けに回るのが参考になった1局でした。