歩を突き捨てて桂馬を活用する

上図は、相居飛車からの展開で△4四銀とした局面。ソフトの評価値+163で互角。

5三の銀が△4四銀と上がった形で、▲3五歩を防いできました。

実戦は△4四銀以下▲3七桂△7三桂で、ソフトの評価値+96で互角。

この手順はお互いに攻めの桂馬を跳ねる手で自然な感じがするのですが、▲3七桂がソフトの候補手に上がっていないので不思議でした。

あえて理由を考えるなら、▲3七桂と跳ねることで7七の角は右側で使うことができません。

7七の角が▲5九角~▲2六角のルートがなくなるという意味です。

たしかに7七の角のままであると後手から狙われやすい駒ですが、7七の角のまま攻めるというのは少し難しそうです。

それに対して△7三桂は自然な駒の活用です。

先手は▲3七桂を保留して別の手を選択した方がよかったようです。

▲3七桂では▲5六歩がありました。

▲5六歩△同歩▲同銀△5五歩▲4七銀△7三桂▲4五歩で、ソフトの評価値+83で互角。

この手順は難しいです。

まず5筋の歩の交換は対局中は全く考えていませんでしたが、そこまで価値が高い手かというと最初は分かりませんでした。

1歩を交換して持ち駒の歩が増えるのですが、単なる歩の交換で相手に手番が回るという考え方もできそうです。

△7三桂として後手は攻め駒が厚みを増してきましたが、そこで▲4五歩が鋭いです。

2九に桂馬がいる状態で▲4五歩と開戦するのですが、桂馬が立ち遅れているようにも見えます。

▲4五歩以下△同銀右▲3七桂△5四銀▲4六銀で、ソフトの評価値+26で互角。

この展開は先手は1歩損ですが手順に▲3七桂と跳ねるのが銀取りになります。

△5四銀と引いた手に▲4六銀と進出しますが、4六の歩をなくすことで▲4六銀ができる形になりました。

手の流れだけを言うと、先手は鋭い手を指したので気持ちはいいのですが形勢はまだ互角です。

このあたりを勘違いしやすく、あまり見慣れないかっこいい手を指したからつい形勢を過大評価しやすいです。

自分はこのあたりを気をつけないと思っています。

先手の狙いは次に▲3五歩で△同歩なら▲3四歩、▲3五歩に△同銀なら▲同銀△同歩▲3四歩のように後手の桂頭を狙います。

よって後手はその手がくる前に戦いを起こします。

自分が最初に浮かんだのは、▲4六銀以下△6五歩▲同歩△7五歩▲同歩△6五桂▲6六角△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△6六飛▲同銀△3九角▲6五銀△同銀▲2九飛で、ソフトの評価値+460で先手有利。

この手順はお互いに荒い手がありそうですが、△7五歩に▲同歩とするのはあまりよっくなかったようで△6五桂が角取りで△7七歩のような筋が生じます。

▲6六角に後手は△8六歩~△同飛~△6六飛は部分的にありそうな手ですが、▲6五銀~▲2九飛があるとさすがに無理のようです。

踏み込む手順を考えるのはいいのですが、読みがすっぽ抜けると形勢を損ねやすいです。

△6五歩▲同歩に△7六歩なら▲6四歩△同金▲3五歩で、ソフトの評価値+340で先手有利。

この手順は△7六歩に▲6四歩が味のいい手で、後手は△同金でも別の手でも少し味が悪いです。

以下▲3五歩と桂頭を狙って先手が指せているようです。

ソフトは△6五歩▲同歩△同桂▲5九角△6六歩▲同銀△6四歩で、ソフトの評価値+147で互角。

この手順もなかなか浮かびにくく、後手は単純に△6五桂と跳ねますが▲5九角と一番遠いところに引くのが盲点です。

大駒はできるだけ遠いところで受けるという感覚のようで、以下△6六歩の犠打から△6四歩も桂馬を助けるといえ辛抱強いです。

△6四歩の局面は後手は歩切れで先手の持ち駒に歩が4枚あるのですが、歩の数は同じのようでいい勝負のようです。

このあたりは単純に攻めるのでなくじっくりと指す感覚のようです。

最初の局面図から局後に自分が考えた▲3七桂と跳ねない理由は、角を右に使うルートではなく、歩を入手して▲4五歩~▲3七桂を急ぐという意味だったようです。

歩を突き捨てて桂馬を活用する指し方が参考になった1局でした。