詰めろでなくても相手玉に迫る手だった


上図は、後手△3三金戦法からの進展で△3五同角と角を取った局面。ソフトの評価値-194で互角。

先手玉は少し危険な形で、後手から次に△5五金から抑えられる手がありそうです。

また後手玉はまだ2筋に逃げ込むような展開があり、先手から迫っても意外と懐が深いイメージです。

将棋の強さはこのような局面でどの程度手が見えているかというのが大事だと思いますが、将棋の大会となると終盤は時間がないことが多く指し手の精度がいまひとつになりがちです。

ただし、少しでも相手の考えていないような手を指せばいい勝負になることもあります。

対局中は先手が少し悪いと思っていましたが、ソフトは互角でした。

ただし表面上は互角でも、終盤の手の広い局面では1手指すことに大きく変動することがあります。

実戦は△3五同角以下▲5四銀△5五歩で、ソフトの評価値-715で後手有利。

この手順の▲5四銀は△5五金を防いだ手▲5三銀打を含みにした手ですが、△5五歩と打たれました。

△5五歩もソフトの候補手にある手で有力だったのですが、△8七飛成もありました。

今回は▲5四銀と出た手がどの程度相手玉に迫っていたのかを確認するために調べました。

▲5四銀△8七飛成▲5三銀打△4一玉▲4二銀打で、ソフトの評価値-1344で後手優勢。

この手順の△8七飛成は次に△7六龍▲4七玉△4六龍以下の詰めろになっています。

先手は▲5四銀と出た以上は▲5三銀打から相手玉に迫るしかありません。

▲4二銀打とした形は、将来後手玉は3一に逃げる手と5一に逃げる手があり意外と広いです。

おそらくこれが実戦だと、4二の地点で清算して少し足りないなと思って読みを断念する可能性が高いです。

ただし強い人は、少し足りないなと思うような局面からでも意外と手をひねり出すことがあります。

▲4二銀打以下△同金▲同銀成△同玉▲5三銀打△3一玉▲4二金で、ソフトの評価値-1061で後手優勢。

この手順は4二の地点で清算して▲5三銀打としますが△3一玉にさらに▲4二金と追いかけます。

先手は持ち駒の金駒をすべて使った形で、もうこれ以上あまり手がなさそうにも見えますがこれがまだ意外と手が続きます。

▲4二金以下△2二玉▲3三歩成△1二玉▲2三と△同玉▲2四歩△同角▲3五桂△1二玉▲2四飛△5七成桂▲同金△5五歩で、ソフトの評価値-99989で後手勝勢。

この手順は△2二玉に▲3三歩成から王手をする手で、ここまで先がなかなか読めません。

終盤の読みはあきらめたらそこで終わりですが、あきらめずに盤上を見れば少しでも先の手が見えるかもしれません。

本局の変化手順は後手玉に迫りましたが、△5五歩で以下先手玉は詰みのようです。

▲5四銀とした手は後手玉に詰めろはかかっていませんでしたが、だいぶ後手玉を追い詰める形だったので最初の局面図から▲5四銀に△8七飛成は選択しづらかったのかもしれません。

△5五歩の王手ならそこで考える時間ができるのでそれが実戦的です。

詰めろでなくても相手玉に迫る手だったのが参考になった1局でした。