先に駒損してもそれなりにいい勝負

上図は、後手横歩取り△3三桂型からの進展で△3六歩と打った局面。ソフトの評価値-176で互角。

駒割りは角と桂馬の交換で先手が駒損ですが、後手玉が狭く先手に金駒が入れば8三から打ち込んで以下即詰みの形です。

そのような意味で意外とこの局面はいい勝負になっています。

△3六歩に▲3八金と逃げるのは△4九角があるので、▲4六金と上がりました。

▲4六金は△同歩とすれば▲同金が。次に▲8三金△7一玉▲8二金△同玉▲8三歩成△7一玉▲8二との詰めろになります。

そのような意味で一発狙いのような手ですが、この手はあまりよくなかったようです。

実戦は△3六歩以下▲4六金△同金▲同歩で以下△5二銀なら、ソフトの評価値-611で後手有利。

この手順は実戦では金交換まで進みましたが、次の△5二銀が変化手順です。

△5二銀は▲8三金に△6三玉の逃げ道を作った手で、これで後手玉が広くなって安全になりました。

先手は金を持ち駒にしたのは成果ですが、攻めるとすればここから▲4三とが浮かびます。

△5二銀以下▲4三と△同銀▲同龍△3七歩成▲同銀△2五角▲3六桂△4三角▲4四桂△同銀で、ソフトの評価値-1414で後手優勢。

この手順は▲4三とから銀を取って部分的には成果が上がっているのですが、△3七歩成~△2五角の王手龍がありました。

▲3六桂と合駒をしますが△4三角から清算されて先手失敗です。

先手の玉のコビンがあくと、先手の龍の位置が悪く王手龍がかかる典型的なパターンです。

最初の局面で平凡な▲4六金で先手が悪いのでは手がないように見えますが、意外な手がありました。

▲4六金では▲3六同金がありました。

▲3六同金△同金▲4三とで、ソフトの評価値-263で互角。

この手順は▲3六同金と金を捨てる手で、△同金に▲4三とで攻め合いにする展開です。

▲4三との瞬間は先手の駒損が大きいのですが、これで意外にも勝負になっているようです。

後手は先手に金駒を渡すと8三から打ち込んで以下詰みの制約があるので、強く攻め合いにでることが難しいです。

また先手は玉のコビンがあいていないので、後手から角を使った攻め筋が緩和されています。

▲4三と以下△3五角▲5三と△同金▲3二龍△5二金▲5六桂△4二歩▲4四桂打△5一金▲3三龍で、ソフトの評価値-285で互角。

この手順は△3五角に▲5三とで銀を取り返して粘る手で、以下△同金に▲3二龍ともぐります。

△5二金には▲5六桂と控えの桂馬を打って次に▲6四桂△同銀▲5二龍を狙います。

後手の△4二歩はそれを消した手ですが、後手かの4筋の歩を使った攻めがなくなるので、先手としても少し粘りが利く形になります。

最後の▲3三龍は次に▲5三龍として▲8三銀からの詰めろを狙いですが、やや単調ながらもいい勝負になっているようです。

苦しくても粘りの手を指すとそれなりに勝負になるので、そのあたりの指し手の精度を少しでも上げたいです。

先に駒損してもそれなりにいい勝負だったのが参考になった1局でした。

受け身の急戦形には準備が必要

上図は、令和元年以前の対局から、先後逆で横歩取り青野流からの進展で▲3七桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+68で互角。

横歩取りは数が少ないながらも後手をもって何度か指していたのですが、青野流を後手をもって指すのは少ないです。

戦法の急所がいまひとつ分かっていないのか、手の感覚だけで指した感じです。

本譜は▲3七桂△7六飛で、ソフトの評価値+176で互角。

△7六飛と回ると先手から▲8二歩がありますが、この場合は△8八角成がありますので成立しません。

△7六飛には▲7七角を予想していて、以下△同角成▲同桂△5五角で、以下▲2二歩や▲8二歩などがありそうですが、その時に考えようと思っていました。

実戦は△7六飛▲7七桂で、ソフトの評価値+176で互角。

練習将棋ならともかく、大会で横歩取りの急戦型の▲7七桂になって次の▲4五桂~▲6五桂をどうやって受けようかなど考えるようでは、さすがにまずかったです。

この戦型を選択するなら準備不足だったです。

▲7七桂には△4四歩で▲4五桂を防ぐ1手でした。

△4四歩には▲2二歩を気にして△2二同銀なら、▲2五桂で角が逃げると▲3二飛成があるのでまずいかと思っていましたが、△2二同角で問題なかったです。

△4四歩に▲8二歩なら、△8六飛で▲8一歩成なら△8七歩▲9一と△8八歩成▲同銀△8九角▲8七金△6六飛▲6九香△8六歩で、ソフトの評価値-482で後手有利。

よって△4四歩に▲3八銀△8六飛▲9六歩△7四歩▲6八銀△7三桂で、ソフトの評価値+226で互角。

まだ手が広すぎてこれからですが、受け身の急戦形には準備が必要と分かった1局でした。

飛車交換後の攻めと受け

上図は、先後逆で後手横歩取り△3三角型からの進展で▲2六飛と3六の飛車が回った局面。ソフトの評価値±0で互角。

先手は次に▲2一飛成があるので後手は受ける1手ですが、どのように受けるかという形です。

対局中は最初に△2五歩と先手を取って受ける手が浮かんだのですが、▲8六飛から飛車交換になると▲2一飛とされてから後手が受けにくいと思って指せませんでした。

飛車交換の後に2筋に空間があきすぎて、先手に駒が入れば▲2四桂とか▲2四香のように安い駒で攻められるためです。

そのような意味で△2二歩と低く受けたのですが、この場合はあまりよくなかったようです。

実戦は△2二歩▲8六歩△9四歩▲8五歩△5四飛で、ソフトの評価値+227で互角。

この手順の△2二歩は2段目に歩を打って守りを強化するというつもりだったのですが、先手は▲8六歩~▲8五歩と伸ばす手がありました。

後手の△9四歩はあまり意味がなかったようで、△9四歩では△7二金のように8三の地点を補強すべきでした。

最後の△5四飛は次に△3五角~△5七飛成のような狙いですが、△5四飛には▲8三角と受ける手があったようで、▲8三角△3五角▲5六飛△同飛▲同角成で、ソフトの評価値+220で互角。

この手順は8三の地点に空間があいているので▲8三角が攻防の手で、▲5六同角成と馬ができて自陣に引く形は味がいいです。

△2二歩は候補手の1つだったのでそこまで悪い手ではなかったようですが、最初の局面の推奨手は△2五歩でした。

▲2六飛以下△2五歩に▲8六飛なら△同飛▲同歩△8九飛で、ソフトの評価値-322で後手有利。

この手順は△2五歩に▲8六飛から飛車交換をで直後に△8九飛と打つ展開です。

狭いところに飛車を打つのは取られそうなときもあり勇気がいりますが、この後の展開が気になります。

△8九飛に▲8八角なら△7二銀で、ソフトの評価値-356で後手有利。

この手順の▲8八角は受け一方の手ですが、△9九飛成を受ける手で実戦的には考えられます。

▲8八角に△7二銀が自分の感覚だと少し浮かびにくいです。

敵陣に飛車を打ったらまた攻める手を考えそうなものですが、あえて自陣に手を戻すというのが意外でした。

△7二銀に▲2一飛なら△2二角▲同飛成△同金▲9八角△8八飛成▲同銀△1六歩で、ソフトの評価値-718で後手有利。

この手順は▲2一飛には△2二角と受けるのが形で、先手は2筋の歩が切れていれば▲2三歩のような手があるのですが、2歩のため打てません。

次に△3一金とすると飛車が取られますので▲2二同飛成と飛車と角の交換をしますが、△同金と進みます。

次の▲9八角で後手の飛車も取られる形ですが、△8八飛成~△1六歩で後手が少しうまく進んだ感じです。

△8九飛に▲2七歩なら△5四角▲8五桂△8四歩で、ソフトの評価値-814で後手優勢。

この手順は▲2七歩は手待ちですが、△5四角が継続手で次に△8七歩があります。

▲8五桂は△8七歩に▲6六角の受けですが、△8四歩と桂馬を取りにいって後手優勢です。

これらより先手は飛車交換は少し無理みたいなので、最初の局面から△2五歩には▲6六飛でソフトの評価値-27で互角。

結局△2五歩には飛車交換をせず▲6六飛で1局の将棋のようでした。

飛車交換後の攻めと受けが参考になった1局でした。

桂馬を跳ねる手を保留して指す

上図は、後手横歩取り△3三桂型からの進展で△2三金と上がった局面。ソフトの評価値+305で先手有利。

△2三金は▲3四歩を受けた手ですが、ここで先手がどのような方針で指すかという局面です。

対局中は先手の飛車と角が働いているとまずまずですが、ここからの手の進め方が難しいと思っていました。

評価値は先手有利になっていますが、ほとんど互角に近い有利のようです。

この戦型の先手の難しいところは、飛車と角と桂馬以外の駒が前に進めにくい駒組みで、金駒が前線にでると大駒の交換になったときに隙が生じやすいというのがあります。

よって低い陣形で駒組みを進めるのですが、争点が分かりにくく方針が決めづらいです。

実戦は▲3七桂だったのですが△6四銀なら、ソフトの評価値+215で互角。

この手順は▲3七桂と跳ねて△6四銀とする手ですが、▲3七桂はソフトの候補手には上がっていませんでした。

部分的には▲3七桂は自然の手だと思ったのですが、将来先手の桂頭が狙われやすいので形を決めすぎなのかもしれません。

3七の桂馬は後手の飛車と2三の金の組み合わせで、7七の桂馬は後手の角と6四の銀の組み合わせで桂頭を狙われやすいです。

先手は急戦で桂馬2枚が捌ければ理想ですが、持久戦模様になって将来桂頭を狙われる可能性があるので、それを守るために▲6六歩~▲6七銀や▲4六歩~▲4七銀のように駒組みを進めるようになりそうです。

それも1局ですが、そのような意味で桂馬を跳ねるのは保留した方が手が広かったです。

▲3七桂では▲2六飛がありました。

▲2六飛△2五歩▲4六飛△4四歩▲8四歩△8三歩▲同歩成△同銀▲8六飛△8四歩▲8九飛で、ソフトの評価値+208で互角。

この手順は結構難しいです。

先手は▲2六飛と飛車交換を狙います。

後手の2三の金が浮いているので後手は飛車交換はしづらく、△同飛▲同歩△8九飛としても▲7九飛で受かります。

また▲7九飛では▲2一飛と厳しく攻め合いにでる手もありそうです。

先手からいつでも▲8四歩と伸ばす筋や▲5三角成と切る筋があるので、後手は支えきれないです。

よって▲2六飛には△2五歩としますがそこで▲4六飛とします。

次に▲4三飛成がありますので△4四歩としましたが、▲8四歩と伸ばします。

後手は8筋の傷を消して△8三歩と合わせますが、▲同歩成から最後の▲8九飛が指しにくいです。

▲8九飛というのが横歩取りの戦型の先手の駒組みで浮かびづらいです。

1段飛車は令和になってから角換わり腰掛銀や相掛かりで普通に見る形ですが、横歩取りの先手は▲3四飛や▲2六飛のような浮き飛車が多いです。

その先入観があるので▲8九飛は見慣れない形で浮かびづらいです。

先手は歩が3枚あるのに後手は歩切れで、特に2三の金の働きが悪いです。

先手の3五の歩は浮いていますが、それを取られても歩の数は互角です。

そのような意味で3五の歩は▲3六飛として守るよりも1段飛車で受けに使った方がいいということのようです。

▲8九飛に△2六歩なら▲同歩△同飛▲3七銀△2四飛▲3六銀で、ソフトの評価値+286で互角。

この手順は後手は歩切れを解消するため△2六歩から動いてきたのですが、先手は▲2七歩と打たずに▲3七銀とします。

これが先手は桂馬を跳ねる手を保留して1段飛車にした効果で、△2九飛成に▲同飛を用意しています。

先手は▲3七銀~▲3六銀として、将来▲3七桂と跳ねる形にして後手の飛車を抑える指し方です。

場合によっては先手は▲2九飛と2筋に飛車を回ってくることも可能になります。

桂馬を跳ねる手を保留して指すのが参考になった1局でした。

ちょっとした形の違いで指し手が違う

上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で▲7七桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+25で互角。

横歩取りは振り飛車と同様に序盤で少し評価値が低くなりやすいのですが、ここまでは後手としてはうまく進めている感じです。

通常横歩取りは後手が1歩損になることが多いのですが、本局は後手も7六の歩をとる形になったので駒の損得はありません。

後手としては△8二歩と打たされる形はあまりよくないのですが、以前に比べて違和感がない形で自陣の隙を消しています。

また△2六歩と打った形なので、どこかで△2七歩成を入れて先手陣の形を崩したいです。

ここで後手の手番ですが、ここからの指し手はまずかったです。

実戦は▲7七桂以下△7二金▲2三歩△同銀▲2四歩△1二銀▲3四飛△4二玉で、ソフトの評価値+201で互角。

この手順の△7二金は7筋と8筋を手厚くしたのですが、駒が右側に偏りすぎたようです。

先手は▲2三歩~▲2四歩と1歩捨てて▲3四飛に△4二玉と進んだのですが、後手陣の金駒の配置が悪いです。

7二の金と1二の銀が冴えない形で、5三の地点が薄いのでどこかで△6二銀と上がる形になりますが、右側は壁になっているのでまとめづらいです。

それに対して先手は低い構えで駒の配置がいいので、このあたりの駒組みの差が形勢になってでているようです。

先手は強い戦いができるのに対して、後手は強い戦いはできないということです。

本局とはあまり関係ありませんが、現代の横歩取りなら△6二銀△7二金型より△7二銀型の方が1手少なく自陣がまとまりますのでそれを含みにしてもよかったです。

なお最初の局面図では△7二金で△3六飛がありました。ソフトの評価値-144で互角。

この手順の△3六飛は歩を補充する手ですが、見た目以上に厳しい手だったようで驚きました。

△3六飛に▲3四歩なら△4五桂▲2三歩△7五角で、ソフトの評価値-603で後手有利。

この手順は△3六飛と歩を取ると3筋の歩が切れるので、▲3四歩と桂頭を攻める手が気になります。

部分的には2筋と3筋の歩の攻めで左側はまずいようですが、△4五桂と跳ねたこうかで△7五角が厳しいです。

この場合は先手の飛車の位置が悪いので先手の指し方は成立しません。

△3六飛に▲6八銀なら△7二金▲2三歩△同銀▲2四歩△1四銀▲3四歩△2五桂▲1一角成△3七歩で、ソフトの評価値-402で後手有利。

この手順は▲6八銀は5七の地点を補強して自然な手ですが、次の△7二金も驚きました。

△3六飛とせずに△7二金はよくなかったのですが、△3六飛とした後だと△7二金が推奨手になるのが難しいです。

後手の飛車が3筋にいるので、先手は3筋に飛車が回ることができません。

ちょっとした形の違いで推奨手が変わるというのが将棋の難しいところです。

後手の飛車が3筋に移動していると、△4五桂と跳ねた形が5七の地点を睨むのと同時に△3七歩の攻めが生じます。

後手の1四の銀の形が悪くても、飛車と桂馬の攻めで手が繋がればそれでよしという形勢判断のようです。

真ん中の局面図と最後の局面図の違いは3筋に先手と後手のどちらの飛車がいるかということで、3筋に飛車がいると攻め味が出てくるので先に回った方がよいということのようです。

ちょっとした形の違いで指し手が違うのが参考になった1局でした。