上図は相掛かりからの進展で、△9七歩と打った局面。ソフトの評価値+215で互角。
先手は4筋に位を取って▲4六角と攻防に角を打って自陣を広げる形です。
8九の桂馬も▲7七桂と跳ねてバランスはいいのですが、やや9筋が弱いため後手から△9五歩▲同歩△9七歩と動いてきました。
対局中はこの手を気にしており、▲同香では香車が浮いて自信がなかったので実戦は▲6五桂と跳ねました。
▲6五桂はソフトの候補手になく、あまりいい手ではなかったようです。
▲6五桂に△6四銀なら▲9七香△9八角▲7七玉で8筋は大丈夫ですが、▲6五桂には△6二銀があります。
▲6五桂△6二銀▲9七香△4二角▲8八金△6四歩で、ソフトの評価値-247で互角。
この手順は▲6五桂に△6二銀としても4六に角がいるので△6四歩には▲同角で、簡単に桂馬は死なないと思っていたのですが、後手にうまい切り返しがあったようです。
▲9七香に△4二角と遠くからの自陣角を打つのがうまい手で、▲8八金と守りますが△6四歩で先手の桂馬が死ぬ形です。
△4二角と打つことで、6四の地点に駒を1枚多く利かせて桂馬が取れる形です。
この局面もソフトの評価値は互角のようですが、桂損の代償がなければ先手が悪いです。
▲6五桂では▲9七同香がありました。
▲9七同香△9八角▲9四歩で、ソフトの評価値+288で互角。
対局中は▲9七同香には△9八角で先手が悪いと思っていたのですが、▲9四歩と突く手がありました。
今見れば▲9四歩は自然な手ですが、このような手が昔から全く見えず、後から振り返ってこのような手があったんだという感じです。。
▲9七同香と▲9四歩の組み合わせは9筋を逆用する手ですが、△8七角成が少し気になります。
▲9四歩以下△8七角成▲9三歩成△同香▲同香成△同桂▲4四香△同銀右▲同歩△同金▲2四歩△同銀▲7三角成△8六飛▲5一馬で、ソフトの評価値+609で先手有利。
この手順で大事なのは盤面の8筋を9筋の下の方ばかりを見るのでなく、盤面全体を見ないといけないということです。
戦いの場所を8筋と9筋の下段だけでなく、複数の場所に手をつけて局面を広く指す感覚です。
9三の地点で駒を交換すれば▲4四香と4筋の位を活かした手を指して、その後、後手玉が少し弱体化すれば▲2四歩と玉頭の歩を突いて、以下△同銀に▲7三角成と盤面を広く指します。
このような手順を、できるだけ短い時間でイメージできるかが特に早指しでは大事なようです。
後手の攻めを受け流すという感覚に似ているかもしれません。
盤面全体で広く指すのが参考になった1局でした。