金を上部に上がって受ける

上図は、先後逆で横歩取り△3三角型からの進展で▲8六飛と6六の飛車が逃げた局面。ソフトの評価値+84で互角。

対局中は△6五飛とただで角を取りたいと思っており、ここで△9五角として▲7六飛なら△7七角成▲同飛△6五飛のような狙っていました。

ただし、△9五角に▲6六飛とすれば△7七角成としても▲同金△6五飛▲同飛で後手がうまくいきません。

早指しの将棋は、1つ狙いが浮かんでも相手に防がれたらまた次の手を考えないといけないのでそのあたりが大変です。

狙いが浮かばなければ千日手か手待ちみたいな手になるのですが、結局は短い時間で手が見えるかどうかが大事になってきます。

実戦は手がみえなかったので▲8六飛に△8三歩としましたが、そこで▲8四飛△同歩▲4六角なら、ソフトの評価値+373で先手有利。

この手順の△8三歩は受けるなら自然な手ですが、この場合は変化手順で▲8四飛と飛車を切ってから▲4六角がありました。

このような手がすぐに浮かべばいいのですが、残念ながら手がみえていないと指摘されるまでは分かりませんでした。

▲4六角に△3四飛は▲9一角成からぼろぼろ駒を取られるので、▲4六角には△6五飛としますが▲同桂で、ソフトの評価値+644で先手有利。

この手順は後手は飛車と角を持ち駒にしているのですが、先手の桂馬だけ中央に活用できているので先手有利です。

桂馬が5段目まで活用できると理想の形の1つです。

逆の言い方だと後手は分かりやすい形にしてはまずかったようです。

分かりやすい形とは先手のいい手が次々に浮かぶような展開です。

△8三歩では△8三金がありました。

△8三金▲6八銀△6四歩▲8七角△7四金で、ソフトの評価値-9で互角。

この手順は△8三金と金を3段目に上がって受ける手です。

自分はこのような金を3段目に使うような手が全くと言っていいほど浮かびません。

金は3段目に使うと弱くなるという感覚がしみこんでいるためだと思っていますが、そのような先入観があるとこのような手がみえません。

金という駒は接近戦に強いので、相手の大駒を責めるには適した駒です。

形は悪く△8三金としますが、▲6八銀には△6四歩と後手玉のコビンをあけて角取りに歩を突いて▲8七角に△7四金とします。

このような展開は金が3段目からさらに4段目に進出したので、何か先手から技がかかるかが気になります。

△7四金に▲8四飛△同金▲5七角なら△7五飛で、ソフトの評価値-658で後手有利。

この手順は▲8四飛と角を取ってから▲5七角と飛車と金の両取りに打ちますが、△7五飛と逃げる手が金取りも受けており以下▲同角△同金は後手が少し指せているようです。

自分の場合は、この△7五飛と逃げたら両取りが受かるというのもぱっとみえないところがセンスがいまひとつです。

△7四金に▲8三歩なら△同歩▲8二歩△7三桂▲8一歩成△7六歩▲同飛△7五金で、ソフトの評価値-412で後手有利。

この手順は守りの金が4段目にいって薄くなったので、▲8三歩の合わせの歩から▲8二歩としてと金を作る展開ですが、△7六歩~△7五歩として飛車が取れる形なので後手が少し指せるようです。

よってこれらより△7四金には▲8四飛や▲8三歩は少し無理なので▲5七銀左で、ソフトの評価値-42で互角。

やはり力戦形の手将棋になると手の作り方が難しいです。

金を上部に上がって受けるのが参考になった1局でした。