意外な受け方と切り返しで対抗する

上図は、先後逆で相掛かりからの進展で▲3二角と打った局面。ソフトの評価値-59で互角。

相掛かりから角交換腰掛銀のような形になり、先手が▲3五歩△同歩▲4五銀と銀をぶつけてきた展開です。

後手は相手の攻めをいなすような指し方で▲3二角と打たれた形ですが、次は▲4三角成の狙いがあります。

▲4三角成を受ける手で△5四角はありますが、▲4五銀とされると角が取られてしまいます。

対局中は受けがなくなって後手がまずいと思っていました。

実戦は△3二同金▲同歩成△8五桂▲8六銀△8八歩で、ソフトの評価値+454で先手有利。

この手順は△3二同金とされると▲同歩成で以下駒損が大きくなると分かっていたのですが、それ以外の手が浮かばなく仕方ないので指した感じです。

後手は典型的な苦し紛れのような指し方で、△8八歩に▲同金ならソフトの評価値+465で先手有利。

この手順は先手は壁金になるので指しにくいのですが、後手の攻めが無理筋なので丁寧に指せば先手有利だったようです。

なお実戦は△8八歩に▲7七桂と逃げて△同桂成の進行になりましたが、人間の感覚でいったらこれが自然に見えます。

互角になれば後手からすると結果オーライみたいな展開ですが、後手はどこが悪かったか調べたらソフトは全く浮かばないような指し方を指摘していました。

△3二同金では△6二玉がありました。

△6二玉▲4三角成△4二歩▲3二馬△3六歩で、ソフトの評価値-333で後手有利。

この手順は全く理解不能の手の連続でした。

▲3二角に△6二玉は4三の地点の受けを放棄するということですが、▲4三角成で次に▲3二歩成の狙いが残ります。

▲4三角成には△4二歩は馬取りの受けの手ですが、これには▲3二馬とします。

▲3二馬に△同金な▲同歩成で実戦とあまり変わらないような展開ですが、▲3二馬には△3六歩が意味深な手です。

△3六歩というのは将来△3七歩成のような手になりますが、現状では▲同金と取られてと金は作れません。

また△3七歩成をいかす形にするには5五の銀を△4六銀とする必要があります。

ただし、この手順も先手玉が▲6八玉の形なのでどの程度の効果があるかが分かりにくいです。

直接玉の周辺を攻めるのなら分かりますが、反対側を攻めて先手の攻めに対抗できるのかが気になります。

先手は▲2二馬や▲3一馬としても後手は馬が取れる形で少し攻めが重たいです。

△3六歩に対して▲2三銀成と▲3九飛がが気になります。

△3六歩以下▲2三銀成△4六銀▲2二成銀△3二金▲同歩成△3七歩成で、ソフトの評価値-921で後手優勢。

この手順は後手は4六銀からの攻めを間に合わせる展開ですが、△3七歩成の瞬間の駒割りは角と金銀の交換の2枚替えで後手が駒損になっています。

しかし、△3七歩成として金が取れれば駒損を回復できますし、後手は早逃げして意外と隙がないのが大きいようです。

先手は飛車が攻めに参加していないのでややスピード感がありません。

△3六歩以下▲3九飛△2八角▲3六飛△1九角成▲2三銀成△3二金▲同成銀△1八馬で、ソフトの評価値-1251で後手優勢。

この手順は△3六歩に▲3九飛として飛車の活用を狙ったのですが、△2八角~△1九角成が間に合ってきて、▲2三銀成には△3二金~△1八馬で後手優勢です。

やはり△3六歩と伸ばせば、相手の手によって△4六銀とか△2八角とかが生じますので含みある手だったようです。

なおソフトは△3六歩に▲4五銀を推奨してソフトの評価値-550で後手有利とのことですが、この手もなかなか浮かびません。

▲4五銀は後手の3六の歩を取る狙いですが、やはり3六の歩の拠点は大きいいので処理したいようです。

意外な受け方と切り返しで対抗するのが参考になった1局でした。