上図は、先後逆で筋違い角からの進展で▲2五桂と跳ねた局面。ソフトの評価値-1816で後手優勢。
駒割りは飛車と桂馬の交換で後手が駒得しており、後手玉は穴熊で固いので後手優勢です。
▲2五桂で後手に手番が回ってきましたが、どのように先手玉に迫るかという場面です。
持ち駒に飛車と角と銀があるので、1段目に飛車をおろすのが自然に見えました。
実戦は△7九飛▲6九歩△同飛成▲5九銀で、ソフトの評価値-2333で後手勝勢。
この手順は△7九飛と打って、次に△2九角▲同玉△4九飛成のような狙いです。
△7九飛に対しては先手は持ち駒を受けに使う形になるのでこれでも後手優勢です。
ただし、先手玉もそれなりに固くなってきたのでもう少し手数がかかります。
ソフトは別の手を推奨していました。
△7九飛では△3六歩がありました。ソフトの評価値-1944で後手優勢。

この手順は玉頭から歩を使って攻める手です。
持ち駒に飛車があるとつい敵陣に打って攻めに使いたいところを我慢して、歩を使って相手玉に嫌味をつける形です。
先手玉は玉頭が薄いので、そこを安い駒で攻めるというのがうまいです。
普通は3七の地点は金駒や桂馬が受けに利いていることが多いのですが、本局は玉しか利いていないので効果が大きいです。
相手の陣形のどこが弱いかを狙って攻めるのが効果的です。
△3六歩に▲同歩なら△3七歩▲同玉△5五角とします。
△5五角とした手が角を間接的に相手玉に睨んだ形で、これが詰めろになっています。
詰み手順は△3六飛▲同玉△4六飛▲3七玉△2八銀▲同玉△4八飛成▲1七玉△2八角成▲1六玉△1五歩▲2六玉△3七龍までです。
飛車を捨てる手や銀を捨てる手があり少しリスクの高い指し方ですが、詰ませるときは詰ました方がいいです。
△4八飛成が両王手の筋でぴったりの寄せです。
よって△3六歩に対して先手は駒を埋めて受けることにします。
△3六歩以下▲2六銀△7九飛▲5九桂△7六飛成で、ソフトの評価値-2059で後手勝勢。

この手順は▲2六銀と打って3七の地点を補強したのですが、そこで△7九飛と打ちます。
次に△2九角が厳しいので▲5九桂と受けましたが、そこで△7六飛成と銀を補充するのが興味深いです。
龍を引く形なので少しぬるいような感じもしますが、実質的な駒得は大きいです。
また先手は▲2六銀とか▲5九桂と持ち駒を受けに使っているので、後手玉がより安全になっています。
後手からすると穴熊の端攻めが嫌な形ですが、桂馬という駒を受けに使ってくれると端攻めが緩和されそれだけでも気分的にゆとりがでます。
また後手の持ち駒に銀が2枚あると、1枚は受けに使ってももう1枚は攻めに使えるので問題ありません。
先手玉にまだ詰み筋は見えませんが、後手は駒得しているので持久戦になっても困りません。
これが大会の切れ負け将棋であれば話は別ですが、こういう指し方が本筋のようです。
駒の損得の体力勝負にして、そこから持久戦にしても体力勝ちを目指す指し方です。
自分はつい無理気味でも相手玉に迫るような指し方をすることが多いのですが、こういう指し方も覚えないと終盤力がつかないのかもしれません。
先手が端攻めをすれば後手の持ち駒に桂馬が入りやすいので、それを今度は先手玉の攻めに使うような感じです。
駒得をして体力勝負にするのが参考になった1局でした。