上図は、後手角交換振り飛車からの進展で△1四歩と突いた局面。ソフトの評価値-35で互角。
先手は穴熊にしようとしたのですが、後手から角交換をする展開になりやむを得ず銀冠にしました。
先手は銀冠と9八の香車のバランスがいまひとつですが、後手にうまく動かれた感じでやはり評価値も少し後手持ちのようです。
通常居飛車対振り飛車の対抗形は、居飛車の方が駒組みの段階で評価値が+100~200になっていることが多いです。
もちろん人間が指せば全くの互角ですが、うまく手を作れば居飛車の方が完全に作戦勝ちで有利ということもあるのでそれなりに評価値は気になります。
そのような意味で本局はやや先手失敗ですが、ここから互角を維持したいところです。
実戦は▲8五歩△4二飛▲5六銀△4五歩で、ソフトの評価値-334で後手有利。

この手順の先手は▲8五歩と▲5六銀の組み合わせですが、あまりよくなかったようです。
▲8五歩は8筋の位を取って中盤過ぎに▲8四歩△同歩▲8三歩のような嫌味を作った手ですが、この局面では価値が低いようです。
先手玉は9筋を突いておらず9八の香車の形なので自玉の下がすかすかで、後手が下段に飛車を打って持ち駒に金があると△8九金の1手詰みになります。
そのような意味で先手は強い戦いができません。
8筋の位よりも自玉の安全を図るべきでした。
また▲5六銀は後手が△4二飛としたので4五の地点を守る意味での受けですが、これもあまり意味がなかったようです。
最初は実戦の▲5六銀がよくなかったのがいまひとつ理解できなかったのですが、△4五歩に▲同歩なら△6四角▲2七飛△4五桂▲同桂△同銀で、ソフトの評価値-631で後手有利。
この手順は▲4五同歩には△6四角と飛車のコビンを狙うのがうまいです。
また△4五歩に▲同桂なら△同桂▲同銀△同銀で、ソフトの評価値-505で後手有利。
この手順は▲4五同桂として桂馬を捌いたのですが、△同桂とされると次に△3七桂成があるので先手は▲4五同歩とするしかなく△4五同銀で後手有利です。
そのような意味で▲5六銀と上がったのは△4五歩に備えるつもりで指したのですが、△4五歩に▲同歩とできないので手の組み合わせがよくないようです。
こういう何気ないところで形勢に差がつくと、勝負どころがなくなって終わってしまうことがあります。
▲8五歩では▲9六歩がありました。
▲9六歩△4二飛▲2九飛で、ソフトの評価値+17で互角。

この手順は▲9六歩は玉の近くで指すならこれが自然な手です。
後手から攻められて将来▲9七玉のような形になれば、そこからもうひと勝負という展開になることがあります。
ややレアなケースですが、9八に香車がいる場合は▲9七玉という形がたまに出ます。
少なくとも玉が広くなったという意味では▲8五歩より価値が高いです。
△4二飛は4筋から攻める手で、次に△4五歩という分かりやすい狙いがあります。
ここで先手がどう指すかですが、▲2九飛とするのは驚きました。
▲2九飛は指摘されないと全く浮かびません。
▲2九飛に△4五歩なら▲同歩△同桂▲同桂△同銀▲3三角△4六歩▲3八銀で、ソフトの評価値+209で互角。
この手順は△4五歩とまともに攻めてきた展開ですが、4五の地点で桂馬の交換をしてから▲3三角と打つのが狙いの手です。
桂馬が交換になると3三の地点があくのでそこに角を打つというのは浮かびますが、△4六歩に▲3八銀と逃げていい勝負という感覚はぱっと見で難しいです。
△4六歩▲3八銀というのは、人間の感覚だと先手が全くさえないような感じですが、▲3八銀に△4一飛でも△3六銀でも▲4八歩と打って受けるという感覚のようです。
▲3八銀と▲2九飛の組み合わせはそんなに悪くないようで、飛車は将来▲6九飛とか▲9九飛のような使い方もあり、自陣に活用するような含みがあります。
また4七の銀は▲5六銀と活用するだけでなく、4七にいたままで受けに役立っているので▲2九飛とできるという感覚のようです。
意外な手の組み合わせで受けに回るのが参考になった1局でした。