上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△3五歩と突いた局面。ソフトの評価値+422で先手有利。
後手の角道を止める振り飛車に先手が居飛車穴熊に組んで、平成の時代にあったような展開です。
後手は△3五歩と桂頭を攻めてきたのですが、うまく手を作れば先手がやれそうな形です。
先手は穴熊に組んでいる場合は基本的に荒捌きは歓迎なのですが、本局の場合は先手も後手も金と銀が中央にいて、実質的な守り駒はお互いに金と銀の2枚ずつです。
先手の穴熊と後手の銀冠の比較は、先手の穴熊の方が固いのですが後手の銀冠が広いという感じです。
先手の穴熊は7八の金が浮いているのが少しマイナスで、そのような意味で本局における一直線の駒の交換は微妙です。
実戦は△3五歩以下▲5五歩△同銀▲同銀△同金▲同金△同角で、ソフトの評価値+297で互角。

この展開は中央で金銀がお互いに持ち駒になる形で、△5五同角と角が中央に飛び出します。
一直線の駒の交換は穴熊らしいといえばそうですが、後手の角は先手の穴熊を直接睨んでいる形なのでそこまで強い穴熊ではありません。
また次に△3七角成がありますので▲5八飛とすれば、△6九銀の割打ちの銀があるので難しい形勢です。
先手から駒の交換をして少し形勢が微妙になるというのは、あまりうまくいっていないようです。
これらの展開はやや穴熊の玉の固さを過大評価しているような感じです。
▲5五歩では▲5三歩がありました。ソフトの評価値+233で互角。

この▲5三歩は焦点の垂れ歩ですが、次に▲5二歩成が狙いです。
▲5三歩に対して▲5二歩成を受ける△同金や△同銀や△4二飛や△5一歩が浮かびます。
一般的にはこれらの手はきかされの手で、気分的には後手はあまり好きで指す手ではない感じです。
▲5三歩に△同金なら▲8六角△8五歩▲7七角で、ソフトの評価値+477で先手有利。
この手順は△5三同金には▲8六角として次に▲4五桂を狙います。
△8五歩は角取りでそれを受けたのですが、▲7七角と引いた手が5五の地点を補強して次に▲4五桂の狙いで先手有利です。
後手が△5三同金とすると5五の地点の数が足らなくなりますので、▲7七角の局面は少し先手が指しやすいです。
▲5三歩に△同銀なら▲5五歩で、ソフトの評価値+938で先手優勢。
この手順は△5三同銀としたのですが、▲5五歩と中央に歩を打つのが大きく△4四金と逃げると▲4五桂の両取りがあります。
▲5三歩に△4二飛なら▲4三歩△6二飛▲6四歩△6七歩▲8六角△8五歩▲7七角△3六歩▲4五桂で、ソフトの評価値+496で先手有利。
この手順は▲5三歩に△4二飛と辛抱したのですが、▲4三歩があり△同飛なら▲5二歩成がありますので△6二飛と逃げました。
そこで▲6四歩が味のいい突き出しで、△同飛には▲5二歩成があります。
後手は△6七歩~△3六歩と暴れてきますが、▲4五桂と2九の桂馬がここまで活用できれば先手もまずまずです。
▲5三歩に△5一歩なら▲3五歩で、ソフトの評価値+360で先手有利。
この手順の△5一歩は手堅い歩ですが歩切れになるので、▲3五歩とされると△3六歩とする歩が持ち駒にありません。
ソフトは▲5三歩に△3六歩を推奨していました。
▲5三歩に△3六歩なら▲5二歩成△3七歩成▲4九飛△8一飛▲5五歩で、ソフトの評価値+373で先手有利。
この手順は▲5三歩に△3六歩として強く勝負にでたのですが、▲5二歩成△3七歩成の飛車取りに▲4九飛が冷静な手で、△8一飛とされると先手の桂損ですが、5二にと金を作っているのが大きく▲5五歩で先手が少し指せるようです。
歩を使って後手の形を崩すのが参考になった1局でした。