見慣れない形でもいい勝負

上図は、後手中飛車の力戦型からの進展で△8四歩と突いた局面。ソフトの評価値+365で先手有利。

先手が3筋の歩を交換して▲3五同飛としたときに△8四歩と突いて銀を守ってきました。

あまり見られないような後手の形ですが、中飛車で後手の銀が△8二銀~△9三銀~△8四銀~△8五銀と進出してきました。

このような局面で先手をもって勘違いしやすいのは、相手の駒組みがあまり見られない形なのでうまく指せば一気に有利になると思うことです。

相手が少し無理な動きをしているという風に受け止めがちなのですが、少しいいと思っているところをつい過大評価しがちです。

そのためつい肩に力が入りかちな指し方をすることがあります。

本局もそんな感じで少し指しやすい局面だったのですが、あまり冴えない戦いになりました。

実戦は△8四歩以下▲7七桂△3四歩▲6五飛△7四銀▲6六飛で、ソフトの評価値-244で互角。

この手順は典型的な先手の失敗例です。

対局中は後手の8五の銀を何とか取りたいというつもりで▲7七桂と跳ね、以下△3四歩に▲6五飛とわざわざ自分から狭いところに飛車を移動しました。

以下△7四銀に▲6六飛と引いて次に▲7五歩△同銀▲6三飛成を狙う形ですが、△4二角と引かれて▲7五歩に△同角を用意されると先手の飛車が狭いです。

この展開はいかにも先手が無理をしすぎという感じで、狙いをもって指すのはいいのですがうまくいかずに飛車と角が使いづらい形になったのは大きな誤算です。

大駒を狭いところで使うのはよほど条件がよくないとうまくいかないことが多いので、本局はまずかったです。

▲7七桂では▲4五歩がありました。ソフトの評価値+308で先手有利。

この手順は後手の8五の銀を相手にすることなく▲4五歩と右側で動く手です。

後手は3筋と4筋の守りは堅くしっかりしていますが、▲4五歩と突くことで先手は飛車と角の働きが増してきます。

後手は8五の銀が働く形になるかが大事ですが、そのような展開も気になります。

▲4五歩に△7六銀なら▲3三飛成で、ソフトの評価値+350で先手有利。

▲3三飛成に△同金なら▲4四歩△同銀▲3四歩△同金▲4三角△3九飛▲4八銀△8七銀成▲同玉△6九飛成▲5九銀△8五歩▲7八銀打で、ソフトの評価値+339で先手有利。

この手順は▲3三飛成と飛車と角を交換する手で、先手としては決断の手になります。

△同金には▲4四歩~▲3四歩~▲4三角は気持ちのいい手ですが、後手も△3九飛と打った形が△8七銀成▲同玉△6九飛成の筋があるので、先手が受けきれるかが大事です。

▲7八銀打とすれば際どい局面ですが、実戦的には先手は選択しづらい展開かと思います。

▲3三飛成に△同桂なら▲4四歩△3四銀▲3五歩△同銀▲2一角△4九飛▲3四歩△4五桂▲4八銀△8七銀成▲同玉△6九飛成で、ソフトの評価値+375で先手有利。

この展開も先手は飛車を渡す形で、後手に4九飛と打たれて△8七銀成~△6九飛成の筋ですが、先手有利とはいえ決断しにくい手順です。

やはり飛車を渡す展開は後手の7六の銀も働くことになるので、先手は相当条件がよくないと選択しにくいです。

▲4五歩に△7六銀なら▲4四歩△同角▲同角△同銀▲3六飛△2七角▲3九飛△3八歩▲4九飛△4三歩で、ソフトの評価値+245で互角。

この手順は△7六銀には▲4四歩と取り込む手で、飛車を切る展開よりかは自然な印象です。

以下角交換から後手に△2七角と打たれますが、▲3九飛~▲4九飛と辛抱していい勝負のようです。

やはり最初の局面は思ったほど先手がいいということはなく、楽観気味に指してはいけなようです。

見慣れない形でもいい勝負だったのが参考になった1局でした。