桂馬が活用できるような展開を目指す

上図は、先後逆で相掛かりからの進展で▲2四飛と歩を取った局面。ソフトの評価値+71で互角。

先手が▲8二歩と桂馬取りに歩を打って△9三桂としたときに、▲2四飛と歩を取ってきました。

この先手が8二歩と叩く筋は数年前によく見かけた手ですが、最近はだいぶ少なくなった感じです。

一定の結論が出たのかは不明ですが、あるときを境に指されなくなるというのはよくあります。

自分はこの戦型は先手をもって指すのが多かったのですが、逆に後手をもつと感覚がだいぶ変わってきます。

特に9三に桂馬を跳ねているのがやや異質で本来は中央に桂馬を使いたいのですが、使いづらい形になっているのでどのようにバランスを取るかが難しいです。

実戦は▲2四飛以下△2三歩▲8四飛△8三歩▲8七飛△7一金▲9五歩で、ソフトの評価値+449で先手有利。

この手順はちょっと勘違いしていたのですが、△2三歩と打って▲8四飛に△8三歩と打てば局面がおさまるかと思っていました。

▲8七飛に△7一金は▲8一歩成△同銀▲8三飛成を受けた手ですが、次の▲9五歩を見落としていました。

今見ると自然な手でこれではっきり後手が悪いのですが、対局中はこの局面になって▲9五歩が気づくようでは遅かったです。

このあたりの手順は頭の中だけで理解していたようで、とっさに反応できませんでした。

ちょっとこのあたりは指しなれていないという感じです。

9三の桂馬を守るのができないので、ほぼ桂損が確定したような形です。

△2三歩と打ったのは局面がゆっくりした流れになるので、後手の桂馬が狙われやすくなりました。

ゆっくりした流れというのは、この場合ある程度手が限られてくるので変化のしようがなくなってきます。

後手は暴れる筋がなくなったので、避けようがなくなったという感じです。

△2三歩では△3四歩がありました。ソフトの評価値+60で互角。

この手順は△3四歩と角道をあける手で、これで先手も後手も大駒が働く形になり一触即発のような局面になりました。

大駒が交換できる筋になると手が広がってくるので、戦いの争点がどこにあるかが分かりにくくなってきます。

△3四歩と突いた瞬間は、先手にとっても後手にとっても怖い形です。

△3四歩に▲8一歩成なら△8八角成▲7七歩△7八馬▲同銀△8六飛▲9七角△2三歩で、ソフトの評価値-1851で後手優勢。

この手順はうまくいぎすぎですが▲8一歩成には△8八角成があり、さすがにこれは先手がまずいです。

△3四歩に▲7七角なら△8八歩▲同金△8五桂▲2二角成△7九飛成▲6六馬△2三歩▲2五飛△8七歩▲8五飛△8八歩成▲同馬で、ソフトの評価値-175で互角。

この手順は▲7七角と受けるのはこの戦型ではよく見られる受け方で、△8八角成を防いでいます。

▲7七角には△8八歩と打つのが鋭く▲8八同銀は形ですが、△8五桂▲2二角成△7八飛成があります。

後手は9三に桂馬が跳ねているので、この筋があるのは気がつきませんでした。

よって△8八歩に▲同金と取ったのですが、△8五桂から攻めて以下△7九飛成として後手が好調のようでも先手も粘る筋がありいい勝負のようです。

△3四歩▲2二角成△同銀▲8一歩成△8八歩▲7七金△7四飛▲8八銀△8七歩▲7九銀△8五桂▲6五角△7七桂成▲7四角△6七成桂▲同玉△7四歩で、ソフトの評価値-769で後手有利。

この手順は▲2二角成~▲8一歩成とする手で、△同銀なら▲3四飛△3三桂▲8四飛△8二歩▲9五歩とする狙いで、この展開は後手が少し指しづらいです。

後手にとっては9三の桂馬が働くかが大事で、▲8一歩成には△8八歩と打つのが筋のようです。

先手は駒の取り合いは面白くないので▲7七金~▲8八銀としましたが、今度は△8七歩~△8五桂で後手の桂馬が活躍できるような形で後手が面白いです。

急所の駒は9三の桂馬でこの駒が働けば後手よしで、桂馬が狙われるのは先手よしという感じです。

桂馬が活用できるような展開を目指すのが参考になった1局でした。