飛車を活用するため駒を捨てる


上図は、先後逆で先手ひねり飛車からの進展で▲8二角と打った局面。ソフトの評価値-1343で後手優勢。

駒割りは、角と銀桂の交換の2枚替えで後手が少し駒得です。

ただし▲8二角と打った局面は、次に▲9一角成~▲8一馬とされると駒損を回復され後手は忙しくなります。

▲8二角がやや遊んでいるときに後手はうまく手を繋ぎたいです。

対局中は後手が少し指しやすいと思っていましたが、いい手が見えませんでした。

実戦は△5四飛▲7九角で、ソフトの評価値-609で後手有利。

この手順は後手の典型的な失敗で△5四飛は5七の地点を狙う手ですが、▲7九角と遊んでいる角を受けに活用されて後手が損をしたようです。

9七の角は相当働きが悪い角だったので、受けに役立つ形にさせたのは痛かったです。

このような中盤から終盤に差し掛かるところで切れのある手を指さないと形勢がどんどん接近します。

いままである程度うまく指していたのが1手でだめになることもあるので、最悪でもソフトの候補手の中に入るような手を指したいです。

候補手といっても推奨手以外はすべて大きく評価値が下がるようなケースもありますが、それは比較的少ないと思っているので候補手の3つか4つの中の1つを指せるようにしたいです。

△5四飛では△5七銀成がありました。

△5七銀成▲同玉△5六銀▲5八玉△5七銀成で、ソフトの評価値-1689で後手優勢。

この手順の△5七銀成は銀を成り捨てる手ですが、6六の銀と6五の銀がいなければうまくいけば△6九飛成と飛車を取って成りこむ筋があります。

2枚の銀をなくすことで後手の飛車が活用できる狙いです。

このような手は後から振り返るとなんで気がつかなかったのだろうと思うのですが、実戦で駒を捨てる手というのは詰将棋と違ってそんなにたくさん出ないので浮かびづらいです。

ただし、先手の飛車の位置と後手の飛車の位置を見たときに、すぐにその筋が浮かぶのであればやはりその方は目の付け所がいいということになります。

目の付け所がいいというのが将棋の棋力に連動します。

真ん中の局面図の△5七銀成に▲同玉なら△6九飛成▲7九銀△8九飛▲5八銀△6二龍▲9一角成△9九飛成で、ソフトの評価値-2049で後手勝勢。

この手順の▲7九銀はしぶとい受けですが、△8九飛~△9九飛成は意外と厳しいです。

真ん中の局面図の△5七銀成に▲5九玉なら△6八歩▲同金△同飛成▲同飛△5六桂で、ソフトの評価値-2481で後手勝勢。

この手順は△6八歩が厳しく飛車を切ってから△5六桂の寄せがうまいです。

これらより、後手の飛車を活用される形は先手玉はもたないようです。

最初の局面図から△5七銀成に▲3九玉なら△2六桂▲2七銀△6八歩で、ソフトの評価値-1407で後手優勢。

この手順は△5七銀成に▲3九玉と逃げる形で、後手は銀を成りこんだのは大きな成果ですがここからの指し手も大事です。

△2六桂は安い駒で相手の金駒を攻めるのでよくある手ですが、▲2七銀と逃げたときに△6八歩が少し見えづらいです。

後手は飛車が6五の銀のかげに隠れており、△6八歩では△5六銀と指したいのですが▲6四飛で飛車が取られます。

△6八歩は相手の飛車の働きを抑えて後手から将来△5六銀と活用する筋です。

△6八歩以下▲同金△5六銀▲5七金△6九飛成▲5六金△7八飛で、ソフトの評価値-2600で後手勝勢。

この手順は飛車と銀2枚の交換で2枚替えですが、後手は△7八飛と打つと相手の陣地に2枚飛車の形なので、このような場合はだいたい攻めきれることが多いです。

△6八歩以下▲同金△5六銀▲6七歩△6八成銀▲同飛△5七銀成▲9八飛△6七飛成▲9一角成△6八歩▲2八玉△4八金で、ソフトの評価値-1366で後手優勢。

この手順は先手は▲9八飛と9筋に飛車を逃げて辛抱しますが、2度目の△6八歩が相手の飛車の利きを止めるのが地味ながらいい手のようです。

直接相手の金駒を攻めるのでなく、相手の受けの飛車の利きを止めるのもかなり大きな成果です。

飛車を活用するため駒を捨てるのが参考になった1局でした。