相手の駒組みを意識して見る


上図は、先後逆で相居飛車の先手雁木で▲4七銀と上がった局面。ソフトの評価値-108で互角。

この局面は普通にありそうな形ですが、先手は飛車先の歩の2筋の歩を全く突いていません。

それがどのように影響しそうかなのですが、早指しの対局をしていると序盤の相手の駒組みをあまり見ていないことが多く、自分の駒組みでこのように指したいという手を優勢することがあります。

本局もそんな感じで、実戦は▲4七銀以下△2二銀▲3六歩△8四銀だったのですが、以下変化手順で▲3五歩△同歩▲3八飛で、ソフトの評価値+92で互角。

この手順の△2二銀は壁銀なので初めて見ると少し違和感のある形ですが、後手は早繰銀模様の場合は△2二銀と上がる形もやや少ないながらもあります。

△2二銀と上がれば後手の玉は△3二玉とするのがセットで多いのですが、これは2筋の補強という点では2三の地点は受けに強いです。

また短い手数で玉を囲うことができるので、その分攻めに手をかけることができます。

ただし、本局においては先手は飛車先の歩を突いていないため、その手数を3筋にかけることができました。

▲3六歩~▲3五歩の突き捨てを入れて▲3八飛と回る手順です。

3筋は後手は角頭で狙われやすいのですが、後手の駒の配置で角頭は少し守りづらいです。

守るなら▲3八飛に△4四歩~△4三金を目指すのですが、△2二銀との駒の位置関係が悪く△3二玉~△4二角と角を引いて使う形になります。

このような手順になると、玉の守りに手数をかけて早繰銀を目指すというのは少し無理なので、後手の作戦としては面白くありません。

また▲3八飛に△3二玉とするのは、間接的に先手の飛車のラインに玉が入るので3三の角が使いづらいです。

そのような意味で△2二銀には先手は3筋から動くのが機敏だったようです。

やはりいくら早指しとはいえ、できるだけ相手の駒組みも見るようにして相手の狙いがどこにあるかを意識した方がよかったです。

△2二銀では△3二銀がありました。

△3二銀▲3六歩△3一玉で、ソフトの評価値-114で互角。

この手順は後手は△3二銀~△3一玉と左美濃に囲う手で、△2二銀と指される前は△3二銀~△3一玉とするのが主流でした。

その後△2二銀という手が出たという流れですが、△3一玉は玉を少し深く囲うのが特徴です。

後手の角頭が少し狙われやすい形ですが、後手の角は△2二角とか△4二角とか△5一角と逃げるスペースもあります。

また△4四歩~△4三金として3四の地点を補強することも可能です。

△3一玉に▲3五歩なら△同歩▲3八飛△4四歩▲3五飛△4三金▲3四歩△2四角▲3八飛△3五歩▲4五歩△3四金▲4四歩△同金▲6五歩△3三角で、ソフトの評価値-94で互角。

この手順は先手は▲3五歩~▲3八飛と3筋から動く手で、やはり後手の角頭を狙う形です。

後手は△4四歩~△4三金と角頭を守る形に▲3四歩~▲4五歩と強気に攻めてきます。

先手は居玉ですが、雁木では居玉で戦うというのがよくあり、昔の感覚で居玉は避けよという格言からかけ離れた形です。

後手が守りに手数をかけたので、先手は守りより攻めを優先した手順です。

後手にとっても先手の角のラインを活かした攻めは結構嫌な形ですが、4四の金を守るために△3三角と引くのはやむを得ないようです。

この展開を見ると先手は攻めて後手は受け身に回っているので先手がうまくやっているようでも、居玉ということで決して堅い囲いではありませんので先手玉の近くで戦いが起きると反動がきつくなります。

後手は飛車や7三の銀が攻める形になっていませんが、それでもバランスが取れているというのが興味深いです。

後手はどこかのタイミングで△6四歩と突いて、以下△6五歩から6六の地点に駒を打つて攻めるというのを楽しみに受けるという感じになりそうです。

先手玉は居玉なので、6六の地点に駒を打つだけでも結構嫌な形です。

相手の駒組みを意識して見るのが参考になった1局でした。