上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△5三銀と引いた局面。ソフトの評価値+86で互角。
4四の銀が△5三銀と引いて▲3一角成を受けた手です。
先手は4枚穴熊に囲って玉は固いのですが、2九の桂馬が活用できていませんので、攻め駒が不足しており手を作るのが大変な局面です。
後手陣形はバラバラですが指したい手がたくさんあるので、先手は何か動いていくしかありません。
対局中は動いていく手が見えなかったので手待ちみたいな手を指しましたが、形勢が悪くなりました。
実戦は△5三銀以下▲1五歩△7二金▲5二歩△6四銀で、ソフトの評価値-352で後手有利。

この手順の▲1五歩はあまり意味がないと思っていましたが、無理に動いてもまずいということでの手待ちです。
しかし△7二金は価値の高い手で、▲5二歩も何を指していいか分からずいつでも▲5一歩成を見せてどうかと思っていたのですが、△6四銀で後手有利になったようです。
▲1五歩と▲5二歩の組み合わせより、△7二金と△6四銀の組み合わせの方が駒の働きが断然いいです。
△6四銀には先手の角が逃げる形ですが、後手の陣形がまとまってきて先手はどこかで暴れなくてはまずいような展開です。
どうせ先手が暴れるような展開にするのであれば、後手の陣形がまとまっていない段階で動いた方がよかったようです。
▲1五歩では▲3六歩がありました。
▲3六歩△同歩▲8五歩で、ソフトの評価値+79で互角。

この▲3六歩から▲8五歩の突き捨ては興味深い手順です。
後手の陣形がバラバラなときに歩を突き捨てて、戦場を広げる感覚です。
先手の持ち駒に歩が3枚あるので、歩を突き捨てたくらいでは大きな駒損にはなりません。
最初の▲3六歩の突き捨てはただですが、将来後手から△3七歩成としても▲同飛とすることができます。
それと3筋の歩を突き捨てることで後手の飛車が横に逃げたときには、▲3六飛と飛車を活用することができます。
また先手の飛車は横に活用するような筋もあり、その場合は後手の△3六の歩が邪魔して後手はすぐに飛車が成れないという意味もあります。
そのような意味で、▲3六歩は先手の飛車を軽く使うということでの突き捨てです。
次の▲8五歩ですが、これは後手が銀冠のような形なので、この場合は後手の銀頭が急所になることが多いです。
▲8五歩に△同歩とすればいつでも▲8四歩と銀頭に歩を打つことができます。
現在の局面は3四に飛車がおり横に受けが利いている形ですが、飛車がいないと▲8四歩と打っただけで後手陣は少し崩れます。
8四の地点に空間をあけるのが急所です。
▲8五歩に△同桂とすれば空間はあきませんが、▲8六歩と打てば△7七歩と打つような展開になり、桂馬の交換になりそうです。
桂馬の交換になれば先手も攻め駒不足なので手が広がります。
▲8五歩以下△6四銀▲8四歩△7五銀▲8三歩成△同玉▲7六銀打で、ソフトの評価値+89で互角。
この手順も興味深いのですが、△6四銀と催促にきたら強く▲8四歩として以下△7五銀▲8三歩成として角と銀の交換になります。
先手は駒損ですが後手の陣形もばらばらなので、そちらの方があやがあるという感じです。
最後の▲7六銀打も見えづらい手ですが、玉頭戦なので上部を厚くして後手の陣形の薄さに勝負しようとする手です。
先手も攻め駒は少ないですが、後手もバラバラなのでいい勝負のようです。
戦いを広げるために歩を突き捨てるのが参考になった1局でした。