苦しい局面で手待ちをして辛抱する


上図は、相早繰銀からの進展で△8五桂と跳ねた局面。ソフトの評価値-223で互角。

この局面は後手は持ち駒に歩を3枚持っているのに対して、先手は歩切れです。

また玉の安定度も後手の方が勝っています。

そのような意味で対局中はだいぶ先手が悪いのかと思っていましたが、この局面が互角だったのは意外でした。

ただし互角といっても評価値的には後手が指しやすいので、先手はどうやって互角を維持して粘るかという感じです。

先手はあまり指したい手がないのですが、いい手待ちもなさそうなので仕方なく動いていきました。

実戦は△8五桂以下▲7七桂△同桂成▲同角△5四桂▲5六桂△7六歩▲8六角△6六桂▲4四桂△同歩で、ソフトの評価値-543で後手有利。

この手順は▲7七桂として桂馬の交換を目指す手です。

桂馬を持つと△5四桂とか▲5六桂の両取りが目につき、これで互角だったら▲7七桂はまずまずだったのですが、△4四歩と桂馬を取った局面は▲6六歩とすれば駒の損得はなくても後手有利のようです。

捌き合いになるとどうしても先手の4八の玉の囲いの薄さが目立って、強い戦いができません。

この手順しか粘る手がないのであれば仕方ありませんが、▲7七桂はソフトの候補手に上がっていませんでした。

少し苦しい局面で動いていくか辛抱するかの判断は難しいです。

▲7七桂では▲4五桂がありました。

▲4五桂△6二金▲3七金△5二玉▲3八金で、ソフトの評価値-279で互角。

この手順は指摘されてもなかなか浮かびません。

▲4五桂と跳ねると3七の地点があくので、玉の懐が広くなるとう意味はありますが、▲4五桂と跳ねても相手の駒に当たらず、桂馬はバックできませんので形が決まってしまいます。

後手の△6二金から△5二玉は手待ちですが、この手順を見る限りでは後手から動いて手を作るのは難しいとソフトは考えているみたいです、

先手は▲3七金から▲3八金としてこれも手待ちで、駒が前に進んでいません。

昔の感覚だったら先手の指し手は覇気がないような手という感じですが、自ら動いて悪くなるよりは辛抱するとう感覚のようです。

実際に後手が▲3八金の局面から有利にしようとすると意外と大変なようです。

▲3八金以下△7八歩▲7七桂△同桂成▲同金△8五桂▲5六桂△7七桂成▲6四桂△同歩▲同角で、ソフトの評価値-148で互角。

この手順は△7八歩として次に△7九歩成を狙った手です。

先手は▲7七桂と跳ねて受けるしかありませが、△7八歩と打たせていることで7筋の後手の攻めが重いという意味があります。

以下桂馬の交換から△8五桂とすれば金取りになりますが、先手も▲5六桂と銀の両取りに打ちます。

△7七桂成に▲6四桂△同歩▲同角と進めば、先手の角も働いてきて将来4五の桂馬も攻めに役立ちそうです。

また先手の右玉も後手の攻め駒から遠くなっています。

このような手順を見ると、ちょっとした形の違いで形勢や局面の印象が大きく変わってきます。

局面が苦しいときに無理気味でも動くのか、じり貧覚悟でも辛抱するのかの判断は難しいですが、結局は自分の指し手と相手の指し手を考えて決めるしかなさそうです。

苦しい局面で手待ちをして辛抱するのが参考になった1局でした。