盤上の駒を活用して手を広げる


上図は、角換わりからの進展で△9五歩と打った局面。ソフトの評価値-20で互角。

後手が端攻めをしてきて△9五歩と打った展開で、先手は香車が取られますが駒の損得はありません。

ここで先手がどう指すかですが、先手の持ち駒に銀があれば▲7二銀と打つことができます。

対局中は持ち駒の香車を使って後手の銀を取りにいってどうかと思っていました。

実戦は△9五歩以下▲5六香で以下△9六歩▲5四香△同金▲9八歩と進み、そこから変化手順で△9七歩成▲同歩△9一飛で、ソフトの評価値-412で後手有利。

この手順は▲5六香と打って銀を取りにいく手で予定通りだったのですが、▲5四香に△同金で▲7二銀と打つ展開にはなりませんでした。

▲9八歩の受けに対して、変化手順の△9七歩成▲同歩△9一飛の局面は先手の方が形勢が悪いようです。

駒割りは銀と香車の交換で先手が駒得で後手玉はやや不安定な形なのですが、先手が方が悪いようです。

このあたりの形勢判断が難しく、次に△9七飛成がありますのでそれを受ける形ですが、受けの形がしっくりこないようです。

△9一飛に▲8八玉は△9四香と9筋の駒を足されて先手が悪いです。

また△9一飛に▲8八銀は△6五歩と6筋に歩を合わされてこれも嫌な形です。

先手は飛車と角と4六の銀と2九の桂馬が働いてないのでそれがマイナスの要因です。

▲5六香では▲5六歩がありました。

▲5六歩△6二金▲9三歩△9一飛▲6四香△6三歩▲5五歩で、ソフトの評価値-6で互角。

この手順は▲5六歩と盤上の駒を使う手です。

次は▲5五歩として銀を取る手がありますので後手は△6二金と引きます。

そこで▲9三歩が小技で次に▲9二歩成が狙いです。

▲9三歩に△同角なら▲9五香で香車が助かりますので△9一飛と辛抱しますが、後手の飛車の形はあまりよくありません。

そこで▲6四香と金取りに香車を打つのが見えづらいです。

単騎の香車ですが△6三歩と受けたらそこで▲5五歩として銀を取る形です。

実戦との違いは、同じ香車を取るのに5筋の歩を使うか使わないかということです。

盤上の駒を動かして駒を活用するというのは本筋の指し方で、持ち駒はいつでも使いたいときに使えますが、盤上の駒を活用できるようになると盤面全体の駒を意識するようになります。

少しでも盤上の駒を使って戦力を増やして勝負するのがいいようです。

5筋の歩を使うということは4六の銀が攻めに参加しています。

また将来▲5四歩と突く形は2六の角が攻めに参加できる形になり、2六の角が捌けると先手の飛車の利きが通ります。

そこまで進むとやや理想的ですが、盤上の歩を活用するのが手が広がります。

つい目先の駒得で持ち駒を使いたくなるのですが、そこを辛抱して盤上の駒で何かいい手がないかと考える習慣をつけるだけでも棋力の向上に役立つかもしれません。

実戦はまだ互角ですが、先手の4六の銀と2六の角の活用が見込めるのが大きいです。

盤上の駒を活用して手を広げるのが参考になった1局でした。