△5四角の桂頭攻めの展開

上図は、先後逆で角換わりから先手右玉の展開で、▲2六歩と突いた局面。ソフトの評価値-49で互角。

右玉に対してどのように駒組みするかという作戦の分かれ目の形ですが、自分は地下鉄飛車を目指すような駒組みをすることが多いです。

実戦は△4三金左▲6六歩△3二玉▲6七銀で、ソフトの評価値+66で互角。

この手順は△4三金左~△3二玉の駒組みです。

ここから△7三桂~△2二銀として、以下飛車を1段飛車にして△3三桂~△1二香~△1一飛の地下鉄飛車から△1五歩と戦いを起こす形です。

△4三金左~△3二玉~△2二銀は主に昭和の時代によく指された手で、令和の時代でもたまに見られます。

どちらかというとバランス型に近い駒組みなので現代調に沿っているとも言えそうですが、ソフトはこの駒組みをあまり評価していないのかソフトの候補手にあがってきません。

手数がかかるのと、相手の駒組みによっては効果が薄いなどが理由かもしれません。

右玉には地下鉄飛車は有効ですが、相手の駒組みが玉と飛車が離れている場合は効果が薄いことが多いです。

先手の玉は▲4八玉型ですが、後手が地下鉄飛車模様にすると▲5九玉~▲6八玉と玉を移動するかもしれません。

▲6七銀に実戦は△2二銀だったのですが、ここは△8五歩以下▲7七桂△8六歩▲同歩△同飛▲4五歩で、ソフトの評価値-29で互角。

△2二銀というのは壁銀なので、地下鉄飛車を目指せない形ならあまいいい形ではありません。

そのような意味で△2二銀と指すのは条件がよくないと指しにくいようです。

最初の局面図での△4三金左では△8五歩がありました。

△8五歩▲6六歩△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛▲6七銀△3一玉▲7七桂△7三桂▲8九飛△5四角で、ソフトの評価値-33で互角。

この手順は△8五歩と伸ばしてから8筋の歩の交換を目指す手です。

自分はこの筋の歩の交換を対右玉で保留気味に指すことが多いのですが、ソフトは比較的早く歩の交換を目指すようです。

後手の玉は△3一玉と深く囲う形で、場合によっては△2二玉と入城することもありそうです。

先手は▲7七桂~▲8九飛として逆に8筋からプレッシャーをかける指し方ですが、△5四角が興味深いです。

△5四角はこの戦型でよく出る手で、7六の地点と3六の地点を狙う角で歩を使って相手の桂頭を攻める手です。

狙いが2つあるのが特徴ですが、△5四角は追われやすい角なので利きが1つになる可能性もあります。

△5四角に▲5六歩なら△7五歩▲6五歩△7六歩▲同銀△6五桂▲同桂△同歩▲7七金で、ソフトの評価値-157で互角。

この手順は▲5六歩に△7五歩として先手は桂頭の受けがないのかと思いがちですが▲6五歩とする手があり、△同歩なら▲5五角で飛車のコビンを狙われて後手も嫌な形です。

▲5五角は△7二飛と受けてそれ以上手がないようでも、先手に歩が入ると▲6四歩で後手の銀が取られるので意外とうるさいです。

よって▲6五歩には△7六歩と形を決めて、▲同銀に△6五桂からの桂馬の交換になります。

後手としては盤上に角を使ったので桂馬のただ取りが理想ですが、相手もいることで簡単にはいきません。

桂馬の交換をしてから次に△6六桂の金の両取りが狙いですが、▲7七金と上がっていい勝負のようです。

△5四角以下▲5六銀左△7六角▲6七金右△4三角▲6五歩△同歩▲5五角△8三飛▲4五歩△5四歩▲4四角で、ソフトの評価値+54で互角。

この手順は△5四角に▲5六銀左と7六の地点の利きを外すのが意表の手で、△7六角とただで歩を取りますが▲6七金右と今度は角を目標に動いてきます。

以下△4三角に▲6五歩~▲5五角~▲4五歩が意外とうるさいです。

形勢は互角のようですが、後手の角が今度は少し使いづらい形なのでこれも難しいです。

△5四角と打っても手を続けるのは大変ですが、平手の将棋だと相手もいるのでやむを得ない感じです。

△5四角の桂頭攻めの展開が参考になった1局でした。