少し指しにくい変化手順


上図は、後手横歩取り△3三角型からの進展で△7六飛と歩を取った局面。ソフトの評価値+319で先手有利。

自分はほとんど振り飛車は指さず居飛車が多いのですが、最近の将棋で意識していることは居飛車でも色々な戦型に慣れた方がいいということです。

居飛車でもどうしても好きな戦法になるのは仕方ないですが、相手が急戦模様できたらできるだけその戦型で対抗しようと思っています。

あまり見たことがないような局面だとどこが急所か分かりにくいので、少しでも実戦で考えて慣れておいた方がいいということです。

後手が△7六飛と横歩を取った局面ですが、自分の感覚だとアマの大会だとまず出てこないような戦型です。

大会で横歩取りの先手をもって指すのはかなりの少数派で、指し慣れていない形を持ち時間の短い大会で指すというのはリスクが高すぎるし、受け損なって勝負ところがなくなって負けるというのもよくありそうな戦型なので指す気がしないということです。

逆に言うと、大会でない将棋で横歩取りを指されるのは経験値を増やす上では最適だと思います。

実戦は▲7七桂△2三銀▲8四飛△8二歩▲8三歩△7二金▲8二歩成△同銀▲4五桂で、ソフトの評価値+662で先手有利。

この手順は▲7七桂と角交換を拒否する形で、先手は将来2枚の桂馬が中央に活躍できればいいなというイメージです。

最後の▲4五桂で先手が少し指せているようです。

▲7七桂に後手は△2三銀でなく△4四角として、▲8四飛を防ぐと同時に▲4五桂としても角取りにならないという手が有力でした。

対局中は▲7七桂は有力な手だと思っていたのですが、ソフトの候補手に上がっておらず、この戦型でよく出る▲7七角について調べてみます。

▲7七角△同角成▲同桂△5五角▲4五桂で、ソフトの評価値+399で先手有利。

この▲7七角ですが、自分の感覚だと少し指しづらい手だと思っていました。

なぜ指しづらいかと言うと、△同角成▲同桂に△5五角が目につきそれに対抗する手段を用意していないと指せないからです。

なお△7七同角成に▲同金もありますが、金が3段目に上がるのは基本的にあまりいい形ではないので指しにくいです。

金が3段目に上がるのは相手の飛車が狭い形のようなときの接近戦に有効なのですが、大駒が交換されて飛車の可動域が広い場合には金が上ずって隙ができやすいからです。

よって▲7七同桂と取りますが、△5五角には▲4五桂と跳ねて勝負するしかありません。

▲4五桂以下△7七角成▲同金△同飛成▲5三桂成△同玉▲3二飛成△7九龍▲2二龍△6八金▲4八玉△4五桂▲3一角で、ソフトの評価値+99980で先手勝勢。

この手順は、お互いに受けに回らず攻めの展開のみなので参考にならないかもしれません。

普通は玉が危険だと判断したら受けに回りますが、それでも攻めにくることがあるのがこの戦型の怖いところです。

気持ちが攻めに回ったらいまさら受けても仕方ないとか、攻めが最大の防御などの考えもあり少し無理っぽくても攻めて勝負するというケースがあります。

無理っぽく攻めてきてそれに対抗するのも将棋の難しいところで、ここで間違うと相手の手が通ったということになります。

△4五桂は次に△3七銀の詰めろなので、先手は相手玉を詰ますか受けに回るかのどちらかです。

▲3一角以下△5四玉▲5五金△同玉▲5六銀△5四玉▲2四龍△4四歩▲6五角で詰みです。

この手順だけ見ると1本道の場合は先手が勝つということになるのですが、まず▲5五金が少し指しづらいです。

金はとどめに使えという格言があるように、持ち駒の金は最後に使う方が詰ましやすいということですが、▲5五金で▲5五銀は△6五玉で少し詰まし方が複雑になります。

▲5五銀△6五玉▲5四角△5五玉▲5六歩△4四玉▲2四龍△3四歩△5五金まで詰みです。

また途中の▲2四龍と王手する手は自分の感覚だと少し見つけづらく、自分は盤上の大駒を動かして詰ますというのが詰将棋でも浮かびにくいです。

そこは意識して盤上を見るようにしています。

少し指しにくい変化手順が参考になった1局でした。