やや苦しいときの指し方


上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△4四銀と5五の銀が引いた局面。ソフトの評価値+31で互角。

後手が5筋の歩の交換をして△4四銀とした展開です。

この局面に似た形は平成の頃に一時期指されていたのですが、本局はそのような形になりました。

先手は▲8六歩と▲9六歩と突いているのが少し当時と違う印象ですが、ここから先手がどう指すかという形です。

本局は序盤からずるずると居飛車が悪くなっていいところがなかったので、後で序盤の3つについてメモ程度に調べてみました。

まず驚いたのが最初の局面図の評価値ですが+31だったので、こんなに居飛車が少ないのかと思いました。

居飛車対振り飛車は序盤の評価値が居飛車側に傾くことが多いのですが、+100位はあるのかと思っていました。

将棋の勝ち負けから見ると序盤の評価値は大したことはないレベルですが、できれば少し指しやすい局面にして有利から優勢そして勝勢という流れにもっていきたいです。

実戦は△4四銀に▲4六歩△同歩▲同銀△4五歩▲5七銀で、ソフトの評価値±0で互角。

この手順は4筋の歩の交換で当時の将棋の本などにもあったと記憶していたのですが、ソフトは全くこの手を評価していないのが意外でした。

1歩を持ち駒にしてほかのところでその歩を使うことができるので、そこそこ価値があるのかと思っていましたが、先手は4筋が逆に薄くなったので後手はそれを逆用することを狙います。

▲5七銀以下△5五歩▲2四歩△同角で、ソフトの評価値±0で互角。

この手順は5筋から歩を合わせる形で、先手は4七に歩がいないのでどこかで△4六歩と伸ばされるのがプレッシャーになります。

先手は自ら4筋を薄くしているので、4筋の歩の交換は面白くないということだと思います。

▲4六歩では▲1六歩をソフトは推奨していました。ソフトの評価値+31で互角。

2つ目の局面図は先手が▲2四歩の突き捨てに△同歩とした局面。ソフトの評価値+115で互角。

この局面ではソフトは△2四同角を推奨していたのですが、△2四同歩も自然な手です。

実戦は△2四同歩以下▲7五歩△同歩▲5五歩△同銀で、ソフトの評価値-78で互角。

まずこの手順の▲7五歩は7筋の歩を突き捨ててどこかで▲7四歩という手を含みにしたのですが、あまりいい手ではなかったようです。

また▲5五歩とした手も△同銀で後手の銀が中央に働いてきたので、これもまずかったようです。

▲7五歩で▲3七桂ならソフトの評価値+115で互角。

▲5五歩でも▲3七桂と跳ねて勝負すべきだったようです。

3つ目の局面図は▲3四歩と歩を取った手に△4四角と3三の角が逃げた手で、ソフトの評価値-192で互角。

後手は中央から6筋にかけての圧力があり、先手はそれをうまくいなせるかという形になりました。

このあたりは先手が少し苦しいのですが、先手がどうやって頑張るかという形です。

実戦は▲7四歩△同金▲2四飛△6六歩▲7七金△6五桂で、ソフトの評価値-534で後手有利。

この手順は▲7四歩△同金と形を崩してから▲2四飛と飛車の活用をしたのですが、この展開はまずかったようです。

自分は苦しいなりに仕方ないかなどと思っていたのですが、先手は6筋と7筋から攻められて苦しいです。

▲7四歩では▲3三歩成△同角▲5六歩△6六銀▲7七金で、ソフトの評価値-346で後手有利。

この指し方は全く浮かばなかったのですが、まず▲3三歩成△同角はいくら考えても浮かびません。

歩を渡してさらに将来▲2四飛も消えたのですが、4四の角が5三の地点の受けに利いているのでそれをずらしたとしか思えないです。

△3三同角に▲5六歩と自陣の傷を消す手ですが、△6六銀に▲7七金と寄って受けるのがなかなか見えないです。

先手は6筋が苦しいのでそこをどれだけ辛抱できるかという形ですが、6筋の歩を伸ばされないように受けてチャンスを待つということのようです。

各々の局面図は本当はもう少し深く掘り下げた方がいいのでしょうが、今回はメモ的な意味でまとめました。

やや苦しいときの指し方が参考になった1局でした。