駒を繰り替えて手を作る


上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△2四同角と歩を取った局面。ソフトの評価値+368で先手有利。

後手が2筋の歩の交換をした形で、いつでも△7九角成の筋があるため先手も油断できません。

2八の飛車には3七の角がひもをついているので条件はいいのですが、ちょっとした形の違いで成立することもありそうです。

ソフトの評価値は先手有利になっていますが、対局中は互角だと思っていました。

△7九角成の筋はぎりぎりだいじょうぶかと思っていましたが、次の指し手がよく分かりませんでした。

実戦は▲5五歩△4三銀▲1八香で、ソフトの評価値-17で互角。

この手順の▲5五歩はたまに出る手で銀取りなので一時的には気持ちがいいのですが、△4三銀の後の手がまた難しいです。

▲1八香は手待ちですが、△3三桂と跳ねられるとまた指し手が難しいです。

先手から動く形になりづらく、駒を繰り替えるようなことになると思いますが、全く指し手の構想が浮かびません。

ただし、駒を繰り替えるなら何か狙いをもって組み替える必要があります。

▲5五歩では▲3五歩がありました。

▲3五歩△同歩▲5九角で、ソフトの評価値+406で先手有利。

この手順の▲3五歩ですが△同角は▲2二飛成があるので△同歩が自然です。

次に△3六歩と角を攻める手があるのでお手伝いのように思えるのですが、そこで▲5九角と先に引くのが驚きました。

1歩損をして角が逃げて相手の手番になるということですが、これで先手が指せるという判断がすごいです。

▲5九角に△3六歩なら▲6八角△2三歩▲2四角△同歩▲4四角△3七歩成▲2二角成△2八と▲5五歩で、ソフトの評価値+1208で先手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、△3六歩はどこかのタイミングで△3七歩成~△3六歩でと金作りを狙う手です。

△3六歩には▲6八角がうまく、これで角が直通する形です。

▲6八角に△同角成は▲2二飛成がありますので△2三歩と受けましたが、▲2四角~▲4四角が厳しいです。

▲4四角に△3三角と合わせるのは▲同角成△同桂▲4四角△2三飛▲3四歩△2五桂▲5五歩△3七歩成▲5四歩△同金▲1一角成△2八と▲3三歩成で、ソフトの評価値+1269で先手優勢。

この手順は▲4四角と再度角を打つのがよくある手筋で、△5一角と受けても▲3四歩があります。

後手は△2三飛から軽く受ける形も、▲5五歩から歩を伸ばす手が有効で先手優勢のようです。

▲5九角に△2三歩なら▲6五歩△3三角▲6四歩△同金▲7七角△同角成▲同金寄△6五桂▲6七金寄△6六歩▲6八金引で、ソフトの評価値+949で先手優勢。

この手順の△2三歩はやや冴えない感じもしますが、後手の2四の角が負担なので先受けの手です。

これには▲6五歩と今度は6筋の歩を突くのが急所で、△同歩なら▲7七角という狙いです。

▲6五歩に△3三角も先受けの手ですが、▲6四歩の取り込みから▲7七角で角交換を狙うのがうまいです。

先手は5九の角が捌ける形で理想的です。

角交換の△7七同角成には色々な取り方がありますが▲同金寄がいいようで、△6五桂▲6七金寄△6六歩▲6八金引の手の流れは部分的には後手は気持ちがいいのですが、意外とこの後は後手の手が難しいようです。

▲5九角というのは▲6八角とか▲7七角を睨んだ角の活用方法で、その場合には3筋の歩を切っておくと将来△3三桂の形には▲3四歩が厳しいです。

これらは数手先を見越した指し方のようです。

また▲3五歩以外には▲6八金引もあったようです。ソフトの評価値+357で先手有利。

▲6八金引以下△2三飛▲5五歩△4三銀▲4八角△3三桂▲5七角△2五歩▲2四角△同飛▲5一角で、ソフトの評価値+482で先手有利。

この手順は▲6八金引は、後手がどこかのタイミングで△同角成としても金駒はすべての駒が連結しているので、それ以上金駒がただで取られることはありません。

以下先手は3七の角を▲4八角~▲5七角とぶつける手があり、これも先手が指せているようです。

駒を繰り替えて手を作るのが参考になった1局でした。