玉を下段に落とす筋で詰ます


上図は、後手横歩取り△2三歩型からの進展で▲5二金と香車を取った手に6二の玉を△7二玉と逃げた局面。ソフトの評価値+99985で先手勝勢。

▲5二金に△同玉なら▲4二飛△5三玉▲5一龍まで詰みなので△7二玉と逃げました。

終局までもう少しという局面ですが、ソフトで999・・と表示される場合は即詰みがあることが多いです。

この局面は色々な詰まし方があったのですが、一番分かりやすいのは▲7三飛△同桂▲7一龍△同玉▲6二銀△8二玉▲8四香△9二玉▲8二香成△同玉▲7三銀成△9二玉▲8四桂△8一玉▲7二成銀まで詰みでした。

この手順は▲7三飛と捨てるのは勇気がいるのですが、△同桂に▲7一龍~▲6二銀が寄せの形で、△8一玉には▲8四香と離して打って△9二玉に▲8二香成が明快でした。

先手は飛車2枚を捨てる形なので決断の手順ですが、▲8二香成まで見えたら▲7三銀成以下は並べ詰みです。

実戦は△7二玉以下▲7一龍△同玉▲6二銀△8二玉▲8四香△8三銀で、ソフトの評価値+99990で先手勝勢。

この手順は▲7一龍~▲6二銀と王手をする手ですが、まず▲6二銀では▲7三香と打った方が明快でした。

▲7三香に△8二玉なら▲8四香△8三歩▲7二飛で詰みです。

よって▲7三香に△同桂としますが、そこで▲6二銀と打って△8一玉に▲8二飛△同玉▲7三銀成△9二玉▲8四桂△8一玉▲7二成銀まで詰みでした。

この手順は先に▲7三香と打って△同桂とさせることで、将来7三の桂馬を取ることができると詰み形になりやすいということです。

下から追って詰ますのでなく、上から駒を取って玉を下段に落とす方が詰ましやすかったです。

なお実戦の手順の▲6二銀~▲8四香も決して悪い手ではなかったようで、これも詰みがありました。

▲8四香△8三銀以下▲9四桂△同歩▲8三香成△同玉▲8四香△同玉▲7三銀打△同桂▲同銀不成△9五玉▲9六飛で詰みでした。

後手が△8三銀と打った場合は▲9四桂と打って9四の地点を守りの駒で封鎖してから▲8三香成~▲8四香~▲7三銀打が明快でした。

なおこの手順は後手が△8三銀と金駒を打ったので詰ますことが可能で、△8三銀で△8三歩なら▲7一銀不成△同玉▲7三香△同桂▲6一飛△8二玉▲6二飛成△7二香▲7三桂成△9二玉▲7二龍まで詰みです。

なお実戦は△8三銀以下▲7一銀不成△同玉▲6一飛△8二玉▲8三香成△同玉▲8一飛成△8二歩で、ソフトの評価値+99977で先手勝勢。

この手順は△8三銀以下▲7一銀不成~▲6一飛と下から玉を追う手です。

下から追って上に上げるのは普通は詰ましにくいのでしたくはなかったのですが、実戦の手順以外が思いつかなかったので仕方なく指した感じです。

▲8一飛成に△8二歩と打った局面が最後のチャンスだったようで、ここも即詰みがありました。

△8二歩以下▲9五桂△8四玉▲8二龍△9五玉▲9六銀△8六玉▲7三桂成△7七玉▲8七龍△6八玉▲8八龍△7八香▲7九銀△6七玉▲7八龍△6六玉▲6七香△5七玉▲5八龍まで詰みです。

この手順は▲9五桂のただ捨てですが、△8四玉と逃げた場合で以下▲8二龍~▲9六銀と追う形で普通は駒不足で詰まないのですが、8八に銀が落ちているので▲8八龍とする筋で詰みでした。

なお▲9五桂に△同歩なら▲8四香△同玉▲8二龍△8三銀▲7三龍△9四玉▲9三桂成△同玉▲8四銀△9四玉▲8三龍まで詰みです。

この手順は▲9五桂に△同歩とすると9五の地点に守りの駒で封鎖させる狙いで、以下▲8四香~▲8二龍と迫ります。

△8三銀に▲7三龍~▲9三桂成が少し見えにくいですが、以下▲8四銀からは詰みでした。

これらの手順を見ると玉は下段に落とすほど詰み筋が分かりやすいのに対して、上部に逃げて下から追う形は詰み手順の難易度が高くなります。

そのような意味で、早い段階で玉を下段に落として詰ますのを意識した方がよかったです。

なお、実戦は△8二歩に▲9五桂が見えず即詰みを発見できませんでしたので、やはり終盤力は大事だったようです。

玉を下段に落とす筋で詰ますのが参考になった1局でした。