金駒を玉頭戦に据える


上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6二金と引いた局面。ソフトの評価値+1273で先手優勢。

先手が▲6四歩と打った手に6三の金が△6二金と引いた形です。

対局中は少し先手が指しやすいと思っていましたが、形勢はだいぶよかったようです。

駒割りは角香と飛車の交換で先手が少し駒得していますが、後手は6筋に厚みがあり3七の龍も先手陣を睨んでいるので油断できません。

先手は2枚の馬をどのように活用するかとか、後手陣のどこに手をつけるかなどで指し手の方針が分かれるようです。

実戦は▲5三馬△同金▲7五歩△4八角で、ソフトの評価値+491で先手有利。

この手順の▲5三馬は後手から△5六銀という手を気にしていたのですが、▲5三馬△同金▲5六金で大したことがなかったのです。

後手の遊んでいる飛車と働いている馬の交換は後手にとって大きなポイントで、▲7五歩で後手の桂馬が取られる形ですが、この瞬間に△4八角が厳しかったです。

盤上の角が相手の持ち駒になってその角で自陣を攻められるという展開で、これでだいぶ形勢が接近したようです。

7四の桂馬を取り切るまでに時間がかかるのと、後手の龍と角と銀の圧力が結構強いでです。

▲5三馬では▲6三香がありました。

▲6三香△7六銀▲5三馬△同金▲6一香成△同銀▲7五金で、ソフトの評価値+978で先手優勢。

この手順は▲6三香と打つ手ですが、対局中は少し考えていたのですが断念しました。

▲6三香には△同銀▲同歩成△同金で次の手が難しいと思ったからですが、▲7五桂と打って先手十分だったようです。

▲7五桂は次に▲6四歩△6二金引▲5三馬△同金▲6三歩成が狙いです。

▲7五桂の後に▲6四歩という手の組み合わせが浮かばなかったので、これは自分の実力であり仕方ないです。

▲6三香に△同銀は甘いようで△7六銀がソフトの推奨手でした。

△7六銀は先手の玉頭に迫る金駒なので、プレッシャーがかかります。

△7六銀に▲5三馬~▲6一香成で、部分的には飛金と角香の交換で先手が大きく駒得していますが、玉頭に銀がいるのと香車が相手の持ち駒になったので△8四香のような狙いが生じます。

後手の7六の銀が働きのいい駒なので、先手は▲7五金と打って攻め駒を責めるという手になります。

▲7五金以下△6七歩成▲同金△同銀成▲同銀△3三歩▲4一飛△6二金▲6三銀△5七角▲6二銀成△同銀▲6一飛成△7一銀打▲7二歩で、ソフトの評価値+2468で先手勝勢。

この手順は▲7五金は玉頭戦は上部を手厚くするのが基本なので、金駒を中央に打ちます。

後手は6七の地点で清算して△3三歩と先手の馬の利きを止めます。

次に△6六歩とか△5七角とかが回ると先手も忙しいのですが、この瞬間に▲4一飛と打って攻めます。

▲4一飛に△5二角と打てば飛車当たりの受けになりますが、▲4二飛成△4三金▲5一龍ともぐって先手がいいようです。

よって後手は△6二金と1枚金駒を使ったのですが、▲6三銀とその金駒を攻めます。

相手の守り駒である金を攻めるのがよくある手で、金がいるとそれなりに相手玉は堅いのですが、金がいないとだいぶすかすかになるという印象です。

このあたりは先手は相手の守り駒を1枚ずつ攻めて薄くしていく感じです。

このような展開になると7五の金が攻防に利いているので、盤上にあるだけで厚みが違ってきます。

これらの手順をみても先手はどこかで踏み込んで指さないといけないのですが、どのタイミングで踏み込むかが毎回難しいです。

金駒を玉頭戦に据えるのが参考になった1局でした。