飛車が逃げた後の手の作り方


上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△3三金と3二の金が上がった局面。ソフトの評価値+99で互角。

後手が△3二金型の向かい飛車に対して先手が急戦を仕掛けた展開です。

△3三金は飛車取りですが、先手は▲3三同飛成とか▲4四飛とするのはまだ早すぎるので飛車を逃げることになります。

先手は3筋のどこに飛車を逃げるべきかという局面です。

△3三金に▲3九飛と逃げるのは、△2八角▲4九飛△1九角成▲4五歩△3五銀▲3一角△5二飛▲2二歩で、ソフトの評価値-291で互角。

この手順はだいぶ意外だったのですが、▲3九飛と逃げて△2八角と打たれるのは香車を先に取られて先手がだいぶ悪いと思っていたのですが、▲4五歩~▲3一角が意外とうるさく以下▲2二歩までで思ったよりいい勝負のようです。

ぱっと見でだめなような手でも、意外と難しいという典型的な例です。

実戦は△3三金以下▲3八飛△2七角▲3七飛△5四角成で、ソフトの評価値-240で互角。

この手順は▲3八飛と2段目に引いたのですが、△2六歩と突くか△2七角のどちらかが気になります。

▲3八飛に△2六歩なら▲3四歩△3二金▲6六角△4三歩▲4五歩△2七歩成▲3六飛で、ソフトの評価値-100で互角。

この手順は△2六歩にはこの瞬間に▲3四歩と打つのが意外とうるさく、△4三金と逃げれば▲2三歩△同飛▲3二角のような狙いです。

よって▲3四歩には△3二金引きますが▲6六角がうるさく、△4三歩に▲4五歩と合わせてどうかという展開です。

▲6六角~▲4五歩という手筋は参考になります。

実戦は▲3八飛に△2七角と打ったので、▲3七飛に△5四角成と後手は馬を作る展開です。

実戦的には馬を作った後手の方が気分的にはいいと思いますが、先手は持ち駒に角があるので飛車と角で手が作れるかという形で、ソフトは少し後手持ちのようです。

やはり馬を作らせて自陣に引き返す形はだいぶ後手陣が手厚くなります。

▲3八飛では▲3七飛がありました。ソフトの評価値-82で互角。

この手順は▲3七飛と3段目に飛車を引く手で、ここに引けば2九の桂馬がいるのでひもがついている形です。

▲3七飛に△2六歩なら▲3八飛と引いた場合の変化手順と同様に、▲3四歩~▲6六角~▲4五歩と狙います。

また▲3七飛に△2八角も気になりますが、▲3四歩~▲6六角~▲4五歩と狙います。

これらの手順は、後手が比較的ゆっくりした指し方だと先手はこの狙いがあります。

何気なく▲3七飛と引いているようですが、先手にはこれらの狙いがあるので後手も少し厳しい手が必要です。

▲3七飛以下△3六歩▲同飛△2七角▲3九飛△5四角成▲4六銀△4五歩▲5五銀△同銀▲同歩△同馬▲8八角△同馬▲同玉△5五角▲6六角で、ソフトの評価値+327で先手有利。

この手順は△3六歩として歩を渡してから△2七角とする手で、実戦と似たような形になります。

ただし、後手が1歩を渡したことでそれがどう影響するかが気になります。

△2七角には▲3九飛と深く引くのがいいようで、△5四角成には▲4六銀~▲5五銀と銀をぶつけて手を広げます。

銀交換から△5五同馬には▲8八角と合わせて△同馬に▲同玉がなかなかの手です。

△5五角と打った手には▲6六角と合わせて先手が少し指せているようです。

先手としては後手の馬を消して手を作りたい流れです。

飛車が逃げた後の手の作り方が参考になった1局でした。