上図は、先後逆で先手陽動振り飛車からの進展で▲9一飛成と香車を取った局面。ソフトの評価値-971で後手優勢。
駒割りは飛桂香と角銀の交換で後手が少し駒損していますが、先手は歩切れでここで後手の手番なので後手が少しいいようです。
ただし、後手玉もそんなにしっかりした囲いではなく、3三と4三の地点に空間があいているので攻め急ぎると反動がきついです。
後手は攻め駒が少ないので攻め駒を増やしていきたいです。
実戦は△6六角だったのですが、▲7六金ならソフトの評価値-1007で後手優勢。
この手順の△6六角は相手玉と飛車を睨んだ角で味のいい角ですが、▲7六金と粘られるとまだ大変でした。
▲7六金は指しにくい手ですが、いまさら△5五角と逃げるわけにはいかず△4七成銀としますが、以下▲6六金△同馬▲2八玉で先手玉を寄せきれるかどうかという展開になりそうです。
これで寄せ切れば一番いいのですが、攻め駒の少ない最短の寄せで間違えるリスクも高くなります。
大駒とか金駒の攻めだけでなく、できれば安い駒を使って攻め駒を増やしたいです。
△6六角では△7六歩がありました。ソフトの評価値-958で後手優勢。

この手順の△7六歩は後手玉を直接攻める手でなく、玉と反対側の桂馬を攻めます。
この瞬間は少しぬるいようにも見えますが、△7七歩成と桂馬を取ればそれが飛車取りになるので厳しさが増してきます。
△7六歩に▲2五桂は△4三玉で、後手は上部が手厚く広いので後手がいいです。
先手は相手の攻め駒を責めて粘りにでます。
△7六歩以下▲5九香△7七歩成▲5七香△同馬▲4八銀△6七馬で、ソフトの評価値-1781で後手優勢。

この手順は▲5九香として後手の攻め駒を責めて消しにいく手ですが、△7七歩成が当然ながら手厚いです。
先手は▲5七香~▲4八銀と馬に当てた受け方をしますが、そこで△6七馬が興味深いです。
中盤や終盤で、大駒に金駒ではじく受け方をされたときに大駒をどうするかという場面がよくあります。
ある程度強くなってくると、大駒に当てられると大駒を切るというのを覚えるのですが、どうしても終盤などで大駒を逃げるとやや甘いという印象を与えがちです。
しかしそれもどのような局面で形勢がどうなのかにもよります。
大駒を切って攻めてうまくいけばそれにこしたことはありませんが、大駒を切ると相手の持ち駒に大駒が入ることで、局面が少し複雑になる可能性があります。
特に大駒は攻防の手というのが出ることがあり、自陣と敵陣の両方に利く手を1手で指せる可能性がでてきます。
本局でいえば、△6七馬で△4八馬と切る手や、△6七馬で△8八と▲5七銀という大駒を取り合う展開です。
これらの手は後手にとってリスクの高い手ですので、よほどの確信がない限りは指さない方が賢明のようです。
後手は寄せ合いにする必要がなく、相手玉の寄せが見えるまではゆっくり手厚く攻めていけばいい局面です。
そのような意味で△6七馬と逃げるのが確実なようです。
寄せ合いにせず攻め駒を増やすのが参考になった1局でした。