上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6四金と歩を取った局面。ソフトの評価値+1123で先手優勢。
駒割りは飛角桂と金銀の交換で先手が少し駒得しています。
ただし、終盤は駒得より速度という格言があるので、やはり相手玉に迫るスピードが重要視されます。
△6四金は5三の金が△6四金と歩を取った形で▲7四桂打を防いだのですが、ここで貴重な手番が回ってきました。
ここは形とばかり▲6二歩と打ったのですが、これは相当甘かったようです。
実戦は▲6二歩に変化手順で△6八香成▲同金△6七銀で、ソフトの評価値+255で互角。
この手順の▲6二歩は手筋の歩で、次に▲6一歩成が詰めろになり、△7一金と逃げるのは後手の玉が狭くなります。
また△6二金と歩を取るのは▲4一飛と打った手が詰めろになり、△5一金と逃げるのは▲2一飛と打った手が▲9四桂△同香▲7一角△同玉▲5一飛成のような寄せを見ています。
ただし本局においては▲6二歩に後手が手抜く手があったようで、▲6二歩には△6八香成▲同銀△6七銀がありました。
この△6七銀は次に△6八銀成でなく、△7九銀と打つ狙いです。
この形は先手は8六に桂馬がいるのと後手は7三に桂馬がいるので、意外と先手玉は狭いです。
△6七銀▲6一歩成△7九銀▲9八玉△8八金▲9七玉△8五桂で詰みです。
対抗形では後手の7三の桂馬が最後の寄せに役立つというケースがあり、自陣ばかりでなく相手の守り駒も見ておかないと思わぬ寄せをされることがあります。
また8六の桂馬は自玉の脱出を自分の駒が邪魔しています。
自分も似たようなケースで何度か痛い目にあっています。
よって△6七銀は詰めろだったので先手は受けることになるのですが、▲6九香と受ければ△7八歩と打ってどうかという展開です。
先手に手番が回ってきて▲6一歩成が実現できればいいのですが、手番が回ることなく寄せきられる危険もありそうです。
これは▲6二歩がぬるかったからこのような展開になったのですが、この場合の相手の大事な駒は7三の桂馬だったようです。
▲6二歩では▲7四歩がありました。ソフトの評価値+1083で先手優勢。
この手順の▲7四歩ですが、対局中はこの瞬間が少しぬるいのかと思っていました。
先手は次に▲7三歩成と桂馬を取っても△同銀で、後手は金駒が密集しているのでまだ寄せが見える段階ではありません。
▲7四歩は7三の桂馬を取って先手玉を少し安全にするという意味と、取った桂馬を攻めに使って詰めろ級の手を作るという意味のようです。
▲7四歩に△6八香成なら▲7三歩成△同銀▲6八金△6七銀▲7九香△7八歩▲同金△同銀成▲同香△7七歩▲同香△7六歩▲8五桂で、ソフトの評価値+1232で先手優勢。
この手順は△6八香成には▲7三歩成~▲6八金で手を戻します。
△6七銀は狙い筋ですが、7三に桂馬がいないため今度は詰めろになっていません。
△6七銀には▲7九香が▲7三香成△同玉▲8五桂の詰めろで先手が指せているようです。
▲7四歩に△6九銀なら▲7三歩成△同銀▲6七銀△同歩成▲同金△6六歩▲6八金△7八金▲同金△同銀成▲同玉△7六銀▲6六馬で、ソフトの評価値+2054で先手勝勢。
この手順は△6九銀と下から攻める手で、先手も▲7三歩成~▲6七銀でぎりぎりの受けになりそうです。
ただし、後手も攻め駒がやや不足しており▲6六馬と自陣に戻る形になれば先手が残しているようです。
後手が詰めろ級の手がこなかったら▲8五桂のような手で間に合ってきます。
▲7四歩に△8五桂なら▲7三角△同銀▲同歩成△同玉▲4三飛△5三歩▲7四歩△同銀▲同桂で、ソフトの評価値+2382で先手勝勢。
この手順は△8五桂には▲7三角から清算して▲4三飛で合駒請求します。
△5三歩は▲同飛成なら△6三金打とはじくつもりですが、▲7四歩と叩けば先手勝勢です。
▲7四歩に△7四同銀なら▲7七銀△6九銀▲6六馬で、ソフトの評価値+1272で先手優勢。
この手順は△7四同銀には▲7七銀と自陣に手を戻すのが少し見えにくく、以下△6九銀は▲6六馬で先手が指せているようです。
7三の桂馬を攻めて自玉を安全にするのが参考になった1局でした。