受けを見切る形

上図は、居飛車対振り飛車の終盤戦で後手が△8五桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+758で先手有利。

駒割は飛車金と角銀の交換で先手が少し得していますが、対局中は金取りになっており、先手が2枚飛車で攻めているとはいえ後手玉はまだ固いので、先手が少し悪いのかと思っていました。

このあたりは、あまり形勢判断が正確にできてなかったようです。

本譜は以下、▲8六銀△7七桂不成▲同銀△7六歩で、ソフトの評価値+200で互角。

この数手も普通の進行のようですがあまり良くなかったようで、先手有利から互角になりました。

先手は受けてもきりがないので、どこで見切るかが大事みたいです。

▲8六銀では▲6一龍があったようです。ソフトの評価値+689で先手有利。

この手順は銀を温存して後手玉に迫る手で、先手玉も後手玉も詰む詰まないを読む展開になります。

▲6一龍は▲7一龍以下の詰めろですが、金2枚と銀と桂があれば△8三玉の形には▲7五桂、△7三玉の形には▲8二銀があるという感覚です。

このような手は後手玉が詰むかどうかを読み切って指すのが本当は正しいのでしょうが、秒読みのような将棋では、多分詰めろだという感覚はやむを得ない感じです。

▲6一龍以下、△7七桂不成▲9八玉で、ソフトの評価値+475で先手有利。

△7七桂不成に▲9八玉と逃げます。

金をぼろっと取らせて逃げるというのは、気がつきませんでした。

後手の持ち駒に桂馬があれば、△9七銀▲同玉△8五桂の筋で先手玉は詰んでもおかしくないのですが、桂馬がないのでまだ詰まないです。

▲9八玉以下、△6一銀▲同龍△7二金▲7五桂で、ソフトの評価値+651で先手有利。

△7二金は先手の▲6二龍の詰めろを受けた手ですが、▲7五桂として▲7一銀からの詰めろを狙います。

まだ際どい終盤戦ですが、本譜の▲8六銀と受けに使うよりはるかに勝負の形になっています。

受けを見切る形での▲6一龍が参考になった1局でした。